集団塾と個別塾どっちがいい?脳の発達の観点から脳外科専門医の林先生にお伺いしました。

アイコンイメージ

集団塾のメリット・デメリット

そのうえで、集団塾の一番のメリットは「仕組み化された外発的動機づけの提供」と言えると思います。まだ人から言われた勉強よりも自由に遊びたいというお子さんにとって、勉強をすること自体が苦痛に感じることも多々ありますし、興味がわかない科目も多々あると思います。そんな中、どんなに教え方が上手な先生であっても、勉強に取り組んでくれるようになるまでは時間がかかります。

そのような中、集団塾では「いかに子どもに勉強してもらえるか」というところをとてもうまく構築していることが多いです。例えば定期テストに関していうと、クラスメイト同士テストの点数を競い、高得点だとシールをもらえたり、名前が張り出されて優越感を感じられたりするようにするというのも一つの方法です。同じ課題を一緒に取り組んでいる仲間がいるというのも好影響で、一緒に相談したり、励ましあったりしていくような効果も期待できます。そうしているうちに、知的好奇心がはぐくまれ、学問そのものの楽しさに気づいていければ、塾通いの毎日もとても楽しいイベントとなるでしょう。

一方でデメリットは、内容の均一化というところにあります。それぞれ個人の理解度や進捗とあまりにも離れてしまっていると、難しすぎても簡単すぎても、効率が悪くなります。特に受験勉強をしていて最終学年に入ってきた場合、限られた時間内で成績を上げたいというときに、すでに理解度が高いところに時間を費やしてしまっては無駄に終わってしまいます。

個別塾のメリット・デメリット

その点、個別塾や家庭教師だとテーラーメイドに対応できるので、教師のレベルが良ければ適切な課題を与え、効率よく学ぶことができます。集団塾のカリキュラムでフィットしないような、科目ごとの習熟度に波があるお子さんや、特に弱い科目があって基礎から学びなおす必要がある場合などでは、個別塾で効率よく学ぶ価値はあります。

ただしその場合、集団塾と異なりモチベーションの維持が難しいことがあります。最初はやる気があって勉強に取り組めたお子さんでも、2~3か月すると慣れてきてだれてしまうということはよくあります。隣に座って勉強しているようなライバルが見えにくいということも原因の一つでしょう。ですので、個別塾に通塾するのであれば、外部の模試を定期的に受けるなどでやる気を維持できるような仕組みを、ご家庭と一緒に考えていく必要があります。

科目によっても向き、不向きがあります。社会や理科などのいわゆる暗記科目であれば、ある程度均一したカリキュラムで進められるので集団塾で良いことが多いです。一方で算数や国語は個人の理解度の差が大きい分野であり、個別塾の方がよりきめ細かな指導を受けることができます。

余裕があるならお子さんの得意科目に応じて、使い分け、併用していくのが一番良いかと思います。お子さんの塾選びに迷ったときは、今回の話も参考にしてみてください。

この記事をSHAREする

この記事をSHAREする