感染性胃腸炎の症状がでたらどうしたらいい?消化器内視鏡クリニック院長船越先生にお伺いしました。

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症状が出た場合の対処法

ノロウイルスにすぐに効く薬はありませんが、ノロウイルスを体の外に出すことが重要です。そのため、嘔吐や下痢を無理に止めようとせず、しっかりと休養を取ることが大切となります。

【水分補給】
嘔吐や下痢で失われた水分をこまめに補給しましょう。一度にたくさん飲むと、胃に負担がかかり、かえって嘔吐しやすくなるため、少量を何回にも分けて飲むように心がけましょう。水やお茶でもよいですが、脱水が心配なときは、子ども用の経口補水液を活用するとよいでしょう。飲めるのであれば天然塩を少量足しただし汁なども脱水改善に有効です。

【食事の調整】
食欲がないときに無理に食べさせる必要はありません。食べられるようになったら、おかゆやうどん、スープなど、消化の良いものから少しずつ食べるようにしましょう。すぐに油っこいものや刺激の強い食事を摂ることは避けるようにしましょう。

【しっかりとした休息】
嘔吐した後はしっかりと休むことが大切です。布団やソファでゆっくり過ごし、体力の回復を待ちましょう。また、ゆっくりと睡眠を取ることも重要です。

どんな人がかかりやすい?

ノロウイルスは誰でも感染する可能性がありますが、特に注意が必要なのは、免疫が未熟な 乳幼児や高齢者の方となります。特に、お子さまは体が小さい分、ウイルスの影響を受けやすく、症状がひどくなることもあります。また、幼稚園、保育園、小学校などの集団生活を送る環境では、ノロウイルスの感染が広がりやすいために手洗いなどを徹底することが大切です。

予防するために気を付けること

ノロウイルスの感染を防ぐには、 日常的な衛生管理 がとても大切となります。特に、お子さまには、こまめな手洗いを習慣づけましょう。食事の前やトイレの後、外から帰ったときには、石けんを使ってしっかり洗うことが重要となります。

また、食べ物にも注意が必要です。カキなどの二枚貝はしっかり加熱してから食べるようにしましょう。家庭で調理する際も、生の食品と加熱済みの食品を分けて扱うことで、感染リスクを減らすことができます。

※ご家族がノロウイルスに感染した場合
もし、ご家族の誰かがノロウイルスに感染した場合は、嘔吐物や便の処理は慎重に行いましょう。ノロウイルスはアルコールだけでは死滅しません。薄めたハイター液やアイロンなどの高熱を利用して消毒しましょう。

目安としては
ハイター液=次亜塩素酸ナトリウム溶液(濃度約5%)
・便や嘔吐物が付着した床やおむつなどの処理→ペットボトルキャップ2杯(10mL)のハイターをペットボトル500mL全量となるように水で薄める。
・衣服などのつけ置き、便座やドアノブなどの消毒→ペットボトルキャップ1/2杯弱(約2mL)のハイターをペットボトル500mL全量となるように水で薄める。

アイロンで消毒する場合、85度以上で60秒以上加熱すればノロウイルスは感染力を失うといわれています。

処理する場合はマスク・ゴム手袋・眼鏡を使用します。感染者の使用したタオルや食器は分けて使い、こまめに消毒を行うことも大切です。

またノロウイルスは、症状が治まった後も 1〜2週間ほど体や便の中にウイルスが残るともいわれています。そのため、嘔吐や下痢などの症状が改善したからといって気を抜かず、引き続き手洗いや消毒を徹底しましょう。

お子さまが感染した場合、 幼稚園や学校を一定期間お休みしなければならないこともあります。施設によって対応が異なるため、保育園や学校のルールを確認した上で、医師と相談しつつ他のお子さまへ感染を広げないようにしましょう。

参考文献:感染性胃腸炎~ノロウイルス感染症~(日内会誌 102:1492-1498, 2013)

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