塾に通わせても成績が伸びない・・・安心してしまうのか、自主学習もイマイチ・・・そんなときはどんな対策をすればいいの?そんな切実な悩みについて、今回は1教室で1,000名以上の生徒が通う学習塾の校長経験もある、株式会社脳レボ代表取締役の川谷 潤太さんに塾のメリットやデメリット、さらに選び方のコツについてお答えいただきました。

1.塾で成績が伸び悩む理由
[1]塾に通っていることで満足
成績が伸びるには、まず家庭学習と学校の授業が必要不可欠です。しかし塾に通っていることで「今日は塾で勉強したから大丈夫」「塾で勉強したから家では勉強しなくても良い」「塾で習ったから学校の授業は聞かなくても良い」と勘違いして、家庭学習や学校の授業がおろそかになってしまうと、なかなか成績が伸びません。塾に通っているから大丈夫ではなく、やはり家庭での復習や反復練習などが成績の伸びを左右します。
[2]塾に頼りすぎている
「塾の先生が何とかしてくれる」「塾に通えば勝手に成績が上がる」など、塾に依存してしまうことも成績が伸び悩む原因になります。この問題点は「受け身」な姿勢です。ただ塾に通っていれば、塾が何とかしてくれる・・・なんてことはありません。結局は自分次第。塾が何とかしてくれるのではなく、主体的に塾を活用していく姿勢が重要です。
[3]頑張りすぎ
たとえ1日中勉強していても、成績が下がるケースもあります。その原因は脳疲労。勉強が好きで好きでたまらなくて1日中勉強している分には良いのですが、受験や課題(宿題)など何かに追われて「やらなければならない状態」「やらされている状態」で勉強を続けていると、どうしても脳の記憶効率が悪くなったり、また頭の回転が悪くなったりするため、成績が伸び悩みます。時にはリフレッシュも必要です。
[4]精神的プレッシャー(ストレス)
「絶対に〇〇学校に合格するのよ!」「〇〇ちゃんは賢いからね」など、受験による精神的なプレッシャーや、周りからのプレッシャーがかかりすぎると、脳の働きが悪くなり、本来の実力が発揮できずに成績が伸び悩むケースがあります。特に進学塾に通っている場合、テストの成績が貼り出されたり、模試の判定が出されたりするため、それが逆にプレッシャーに感じてしまうことも。また、それによる「親や先生からの期待」がプレッシャーに感じる場合もあります。期待ではなく、希望を与えてあげましょう。
[5]生活習慣の乱れ(睡眠不足)
塾の授業は夜に行われることが多いため、どうしても帰りが遅くなり、睡眠時間が短くなってしまう傾向があります。学習内容の定着や記憶には、睡眠が欠かせません。そのため、塾に通うことで十分な睡眠時間が確保できず、さらには学校の授業中に眠気がきてしまう状況にもなり、成績が伸び悩む場合があります。
以上、塾で成績が伸び悩む理由についてお伝えいたしましたが、共通して言えることは「受け身」になっていないかという点です。「塾に行けば何とかなる」「勉強しなければならない」「期待に応えなければならない」など、そういった「受け身」の姿勢で塾に通っていても、どうしても成績が伸びてきません。これは勉強だけではなくスポーツや仕事も同じですが、やはり伸びるためのキーワードは「主体性」です。
5つ目の睡眠不足が原因で成績が伸び悩んでいるケースであれば、別の塾に変える・塾を辞めるという選択もありですが、それ以外のケースであれば、それは解決策にはなりません。「何のために塾に通うのか?」という目的を再度ハッキリさせ、その目的に向かって、むしろ塾を活用することが重要です。
しかしながら、成績が伸び悩むことはよくあること。逆にずっと成績が上がり続けることの方が珍しいです。だからこそ、伸び悩んでいる時にあまり悲観的にならず、上記の原因を少しでも参考にしていただきながら、それがお子さんの成長の一助になればと願っております。