もうすぐテスト!でも何の準備もしていない・・・一夜漬けでも効果はある?実際に身に付く勉強方法って?
そんな疑問に1教室で1,000名以上の生徒が通う学習塾の校長経験もある、株式会社脳レボ代表取締役の川谷潤太さんにお答えいただきました。
一夜漬けのメリットデメリット
試験直前になって、一夜漬けで乗り切ろうとするのは、多くの学生が経験することです。しかしながら、一夜漬けは短期的な記憶に依存しているため、テスト直後に覚えたことを忘れてしまうリスクが高いのが現実です。
また一夜漬けのメリットは、短期間で集中して取り組むことで、直前の試験や課題で最低限の成果を出すことが可能な点です。ただし、その代償として、睡眠不足による集中力の低下や、長期的な知識の定着が妨げられる可能性があります。
どうしても一夜漬けが必要な場合の工夫
一夜漬けでも効果を高めるためには、以下のような工夫が有効です。
・優先順位をつける
出題頻度の高い問題や、覚えるべき最重要ポイントに集中しましょう。一夜漬けの場合は、暗記が中心の単語や公式の学習が適しています。一方で、論理的思考が必要な課題は朝や計画的な学習に回すのが無難です。
・場所を変える
勉強中に眠気を感じたら、場所を変えてみることが効果的です。たとえば、普段の机ではなくリビング、トイレ、廊下を歩きながら、さらにはベッドとタンスの間で勉強するなど、普段と違う環境で勉強することで脳の刺激となり、記憶力もアップすることが期待できます。
・集中力を高める
集中力を高めておくと、短時間で記憶ができるなど、効率が良くなります。具体的におすすめなのは「ボール積み法」。テニスボールを2個積んでみましょう。積めなくてもOKなので、3分間ほどボールを積んでから勉強すると、飛躍的に成果が上がります。
勉強時間は朝と夜、どちらが良い?
勉強時間を選ぶ際には、学習内容に応じて以下のように分けると良いでしょう。
・朝におすすめの勉強
数学や理科など、頭をフル回転させるような科目に向いています。朝は脳がリフレッシュされ、論理的な思考力が高まる時間帯です。
・夜におすすめの勉強
単語の暗記や文章を読むといったインプット作業が適しています。夜の静かな環境は、リラックスした状態で記憶を整理するのに最適です。
ただし、これらは一般論であり、「自分がやろうと思うときにやる」のが一番効果的です。効率よりも、自分の意欲を重視する姿勢を大切にしましょう。
実際に身に付く勉強法とは?
一夜漬けに頼らず、長期的な学習成果を得るためには、次のような学習法を取り入れることが重要です。
・こまめな復習
記憶の定着には「エビングハウスの忘却曲線」を意識した復習が効果的です。具体的には学習した内容を1日後、1週間後など、間隔を空けて復習することで、長期記憶に定着させるのに効果的です。
・学んだことを説明する
学んだことを家族や友人に説明してみることが効果的です。「人に教える」という意識を持つと、ただ覚えるだけではなく、理解を深めることが求められます。さらに、質問を受けることで自分の知識の穴にも気づけます。このプロセスを繰り返すことで、情報の整理と記憶の強化が進みます。
・具体的な目標を設定する
志望校合格やテストでの目標点数など、具体的でリアルな目標を設定しましょう。達成する姿をイメージし、紙に書いて部屋に貼ると、モチベーションが向上します。
目標を達成できる人とできない人の違い
目標を達成できる人とそうでない人の違いは、以下の2点に集約されます。
・目標のイメージの鮮明さ
目標を達成する人は「自分が目標を達成している姿」を具体的にイメージします。一方、達成できない人は「言葉」として目標を認識するだけです。たとえば「志望校合格」ではなく、「合格後に憧れの制服を着て校門をくぐる自分」「入りたかった部活で活躍する姿」といったビジュアル化をすると、目標達成への意欲が高まります。
・目標へのアプローチの捉え方
達成できる人は、目標への道のりを「平坦な道」と考えます。「前に進めば達成できる」と考えれば、自然と努力が続けられます。一方で、達成できない人は目標を「登る山」と捉えがちです。要するに「目標は高いところ」にあり、それを達成するには苦痛が生じると錯覚してしまうのです。この捉え方がプレッシャーや苦痛を生み、途中で諦める原因となります。努力を必要以上に自分で難しく考えすぎないようにすることも大切です。
保護者の方へのメッセージ
保護者の皆さんは、誰もが「お子さまが頑張っている姿を見たい」「夢や目標を叶えてほしい」と願っていることでしょう。そんな思いをサポートする第一歩として、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか?
・学習に集中しやすい場所を提供する
お子さまがリラックスできる環境を整えるだけでも、勉強の効果が変わります。
・小さな努力を認めて褒める
「昨日より早く終わったね」「よく集中できてたね」といった声かけでお子さまのやる気も高まります。
・一緒に計画を立ててみる
目標を共有することで、親子で成長の喜びを分かち合うことができます。
親御さんの声かけひとつで、お子さまが「もっと頑張りたい」と思えることもあるはずです。ぜひ、お子さまの小さな一歩を見逃さず、応援してあげてください。
結論
一夜漬けは、短期間で成果を上げることはできますが、長期的な学習効果を期待するなら、計画的な学習習慣が必要です。今回の記事で紹介した方法を活用しながら、お子さまが一夜漬けに頼らず、効率的に学ぶ力を身につけられる一助になれば幸いです。
[執筆者]
川谷潤太(かわたに じゅんた)
株式会社脳レボ代表
兵庫県の大手学習塾において、当時最年少で校⻑に就任後、1教室で1,000名以上の生徒が通う学習塾に発展させ、講師研修や入試特番テレビのコメンテーターなども務める。
その後、岡山県の創志学園高校へ赴任し、学校改革とスポーツメンタル指導を担当。史上最速、創設1年、全員1年生で甲子園に出場した硬式野球部では3季連続甲子園出場を果たし、6名のプロ野球選手が誕生。ソフトボール部では3季連続日本一、柔道部では日本一や世界一の選手も輩出した。
2019年に株式会社 脳レボを創設し、オリンピック選手やプロ野球選手など、アスリートやスポーツチームへのメンタル指導、子ども‧保護者‧教員向けの教育講演、企業の人材育成マネジメントや研修などを手がけ、講演回数は7年間で1,300回以上、受講者も10万名を突破。
脳科学や大脳生理学、バイオフィードバック工学をベースとした、具体的かつ実践的な手法により、多くの方の願望目標達成をサポートしている。
株式会社脳レボ
https://nourevo.co.jp/