「毎日机に向かっているのに、テストの点が変わらない」。
本人にとっても保護者にとっても、もどかしい状態です。教員歴十数年、進学塾講師を含めると約二十年、子どもの学習を見てきたJADP認定上級心理カウンセラーで、オンライン専門の教育相談室ボーダレススター代表の貞盛秀明さんが、点数が上がらない原因の切り分け方と、家庭で今日から変えられる勉強の進め方を解説します。

「こんなに頑張ってるのに、なんで上がらないの」。
塾で講師をしていたころ、テストが返ってくるたびに、この言葉を何度聞いたかわかりません。口にするのは子どもだったり、保護者の方だったり。
落ち込むかと思ったら、なぜか笑っている子もいたり。
先に結論を書きます。私が見てきた範囲では、足りないのは努力の量ではないことが多かったです。原因は「やり方」のほうにある。そして、そのずれはだいたい三つに分けられます。
まず、原因を三つに切り分ける
(1)勉強した内容と、テストで問われる形がずれている
漢字を何度も書いて覚えた。なのに、テストは文の中で使う問題だった。算数・数学の公式は覚えているのに、文章題になったとたん、別の問題に見えた。社会・理科の用語はノートにまとめたのに、聞かれたのは「なぜそうなったか」の説明だった。
これ、本当によくあります。本人はちゃんと勉強しているんですよね。ただ、練習した形と、本番で出る形が違う。
まずは返ってきたテストを一緒に見て、「どんな聞かれ方の問題で落としているか」を確認してください。ここがずれているなら、勉強時間を増やしても点数は動きません。
(2)「読む・書く・眺める」で終わっていて、思い出す作業が入っていない
教科書を読み返す。ノートをきれいにまとめる。赤シートで眺める。どれも勉強している実感がありますし、意味もあります。
ただ、テストで求められるのは「何も見ずに、頭の中から取り出すこと」です。この取り出す練習が、ふだんの勉強にほとんど入っていない子が少なくありません。
アメリカの心理学者ローディガーとカーピックの実験では、文章を読み直したグループと、読んだ内容を思い出して書き出したグループを比べています。直後のテストでは、読み直したほうが成績がよかった。ところが二日後、一週間後のテストでは、思い出す練習をしたグループのほうが内容をよく覚えていました。しかも読み直したグループは、「覚えられた」という自信だけが高くなっていたそうです。心理学では「テスト効果」と呼ばれています。
読み返すと、わかった気になる。でも、それはテストの日まで残らない。ここ、けっこう大事なところです。
(3)一度にまとめてやっていて、時間を空けた復習になっていない
テスト前日にまとめて三時間。これで覚えたつもりになっている子は多いです。
同じ時間を使うなら、一度にまとめるより、日を空けて何回かに分けたほうが記憶に残りやすい。これも心理学で繰り返し確かめられています。三百を超える実験をまとめた分析では、覚えておきたい期間が長いほど、復習の間隔も長めにとったほうがよい、という結果が出ています。
前日の詰め込みでも、翌日のテストならなんとかなることはあります。でも、次の単元や次の学期までは残りにくい。算数や英語のような積み上げの教科で、学年が上がって急に点が落ちる子は、ここでつまずいていることが多いと感じています。
「読むだけ」「書くだけ」が悪いわけではない
ここまで読んで、「じゃあ、うちの子のやり方は全部だめだったの?」と感じた方もいるかもしれません。
そうではないです。読むことも、書いてまとめることも、最初に内容を理解する段階では必要です。問題は、そこで終わってしまうこと。
理解するために読む。覚えるために、閉じて思い出す。やり方が悪いのではなく、使う順番と場面の問題なんです。これまでの勉強は、ちゃんと土台になっています。
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