帯状疱疹は水ぼうそうにかかっている大人だけがなるって聞いたけど、本当?子どもでもかかることはあるの?水ぼうそうの予防接種を受けておけば大丈夫?そんな疑問について、林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生へお伺いしました。

この記事は、2026年6月時点の公的情報と「帯状疱疹診療ガイドライン2025」に基づいて作成しています。制度や接種対象は変更されることがあるため、最新情報は自治体や医療機関でご確認ください。
「帯状疱疹は高齢者の病気」「水ぼうそうにかかった人だけがなる」と聞いたことはありませんか?
帯状疱疹は中高年に多い病気ですが、子どもや若い人にも起こることがあります。また、家族が帯状疱疹になった場合、水ぼうそうにかかったことのない子どもへウイルスがうつる可能性もあります。
どのような病気なのか、家庭で気をつけることや受診の目安とともに解説します。
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが再び動き出す病気
水ぼうそうと帯状疱疹は、どちらも「水痘・帯状疱疹ウイルス」という同じウイルスによって起こります。
初めて感染したときには、全身に水ぶくれが出る「水ぼうそう」になります。水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは完全には体から消えず、背骨の近くなどにある神経の集まりに長期間潜んでいます。
その後、加齢や病気、免疫を抑える薬などによってウイルスを抑える免疫の働きが低下すると、ウイルスが再び活動し、神経に沿って皮膚へ移動します。これが帯状疱疹です。
一般には、体の左右どちらか一方に、ピリピリ、チクチク、焼けるような痛みや違和感が現れ、その数日後に赤い発疹や小さな水ぶくれがまとまって出ます。胸や背中、腹部、顔に多く、通常は体の中央線を越えず、帯のように広がるのが特徴です。
ただし、痛みよりかゆみが目立つ人や、発疹が少ない人もいます。皮膚の症状が現れる前に痛みだけが続き、筋肉痛や肋間神経痛などと間違われることもあります。
何歳からかかる?疲れやストレスが原因なの?
帯状疱疹の発症は50歳頃から増え、国内では70歳代が最も多いとされています。80歳までに約3人に1人が経験すると推計されています。
がんや血液疾患、免疫不全、臓器移植後の人、ステロイドや抗がん剤、免疫抑制薬などを使用している人は、年齢にかかわらず発症や重症化のリスクが高くなります。
「疲労やストレスで帯状疱疹になる」とよくいわれますが、疲労やストレスだけを直接の原因と断定できるほど強い医学的根拠はありません。睡眠不足や体調不良が続く時期に発症する人はいますが、基本的な原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫の働きが低下することです。
十分な睡眠、無理のない生活、バランスのよい食事は健康維持のために大切ですが、それだけで帯状疱疹を確実に予防できるわけではありません。
帯状疱疹と「ヘルペス」はどう違うの?
「ヘルペス」は、本来、複数のヘルペスウイルスによる病気をまとめた呼び方です。一般に「ヘルペス」と呼ばれることが多い口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルスによって起こります。一方、帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる病気です。
どちらも小さな水ぶくれが集まってできるため、見た目だけでは区別できないことがあります。
帯状疱疹は、体の片側に神経の走り方に沿って広がり、痛みを伴うことが多い病気です。何度も繰り返すことは比較的少ないものの、再発する人もいます。
口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、唇や性器などほぼ同じ場所に繰り返し出やすいことが特徴です。
典型的でない場合は、皮膚科などで水ぶくれをぬぐい、ウイルスの抗原や遺伝子を調べて確認することがあります。写真だけで自己判断するのは避けましょう。
子どもでも帯状疱疹になるの?
子どもにも帯状疱疹は起こります。過去に水ぼうそうにかかったことがある子どもであれば、体内に潜んでいたウイルスが再び活動する可能性があります。
また、水ぼうそうワクチンは弱毒化したウイルスを使用するため、接種後にワクチン由来のウイルスが潜伏し、非常にまれに帯状疱疹を起こすことがあります。ただし、水ぼうそうに自然感染した子どもより、ワクチンを接種した子どものほうが帯状疱疹の発症率は低いことが示されています。
子どもの帯状疱疹は成人より少なく、痛みが弱かったり発疹が少なかったりするため、虫刺されや湿疹、単純ヘルペスなどと間違われることがあります。
片側だけに小さな水ぶくれがまとまって出た場合や、触ると痛がる、ピリピリすると訴える場合は、小児科または皮膚科に相談してください。免疫を抑える治療中の子どもでは、発疹が少なくても早めの受診が必要です。
帯状疱疹は家族や子どもにうつる?
帯状疱疹が他人にうつって、その人がすぐに「帯状疱疹になる」わけではありません。
しかし、水ぶくれの中には水痘・帯状疱疹ウイルスが含まれています。水ぼうそうにかかったことがなく、ワクチンも受けていない人に感染すると、その人は帯状疱疹ではなく「水ぼうそう」を発症する可能性があります。
水ぶくれがすべて乾いて、かさぶたになるまでは次の点に注意しましょう。
○発疹を衣類や清潔なガーゼで覆う
○水ぶくれをつぶしたり、強くこすったりしない
○発疹やガーゼに触れたあとは石けんで手を洗う
○タオルを共用しない
○水ぼうそうの免疫がない子どもや妊婦、免疫機能が低下している人との密接な接触を避ける
特に、妊婦、新生児、早産児、抗がん剤治療中など免疫機能が低下している人は、水ぼうそうに感染すると重症化することがあります。こうした人が帯状疱疹の水ぶくれに触れた可能性がある場合は、症状が出るのを待たず、早めに医療機関へ相談してください。
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