自分に何ができないのかも分からない

義母からの手紙には、夫シンゴが育休を取ることに反対してしまったことへの謝罪の言葉も綴られていました。何十年も経ってから初めて知ったあの頃の義母の本当の気持ちに、私の胸はいっぱいになりました。
私は夢中になって、何枚にもわたる義母の手紙を読み進めました。[私はこれまで、知らず知らずにカスミさんを傷つけることを言ったかもしれません。でも、カスミさんは私の意見を聞いてくれつつも、しっかりと自分の考えを話してくれましたね。]その一文を読んだ時、かつて義母とシンゴと遺産の話をした時のことを思い出しました。

義母から遺産の話を聞いた時、「嫁の私が出ては拗れるので、お義母さんとシンゴさんで話し合ってください」と伝えたことを、私は思い出しました。その言葉に、義母は一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべましたが、すぐに私の気遣いに気づいて、静かに受け止めてくれました。

そして、義母の物忘れがひどくなったのは、ちょうどこの頃からでした。それまでは自分の身の回りのことも、私たち家族のこともいつも気にかけてくれていたのに、ある日を境に少しずつ思い出せないことが増えていったのです。

出かけたはずなのに、何をしに出たのか分からない。自分の家への帰り道が思い出せない。探し物をしても、結局どこにあるのか分からないまま・・・。そんなことが少しずつ増えていきました。

義母の物忘れは、日に日に深刻さを増していきました。そしてついに、キッチンの火を消し忘れてボヤ騒ぎを起こすまでになってしまったのです。警察から連絡を受けて駆けつけたシンゴは、「母さん大丈夫か!?もう何やってんだよ!」と、心配と怒りが入り混じった声を義母にぶつけていました。

それ以来、義母は火を使うこと自体が怖くなり、好きだった料理もできなくなってしまいました。テレビのリモコンの使い方も、電気のつけ方さえ分からなくなり、やがて自分に何ができないのかさえ、分からなくなっていったのです。
これまで当たり前にできていたことが、ある日を境に次々とできなくなっていく・・・その恐怖は、実際にそうなった本人にしか分からないものです。この頃の義母は、自分が少しずつ失っていく現実を前に、息子たちに迷惑をかけてしまうのではないかという不安に押しつぶされ、きっと何も手につかなくなってしまっていたのでしょう。
※ストーリーはフィクションです。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:マキノ
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悲しい
認知症の始まりの時、本人はとっても不安だそうです。
うちも夫のばあちゃんと3年同居しましたが、後半1年は物忘れが進んで、本人は毎日不安そうで…
卓上カレンダーに予定の書き込みを以前から習慣にしていたんですが、物忘れが進んでからは毎日カレンダーと睨めっこ。忘れないように上からどんどん同じ予定を書き込んで、真っ暗になってて。
もうそのカレンダーを見た時は涙が出ました。
忘れちゃうかは何度も何度も確認して、ばあちゃんなりに戦っていたんだな、と。