【1】合格発表「冷静な娘と緊張で吐きそうな母」地方公立塾なし娘の東大合格物語|ママ広場オリジナルマンガ

地方公立塾なし娘の東大合格物語【1】娘がまさか東大生に・・!

その日は、朝から何も手につきませんでした。
発表の時刻が近づくと、娘は2階の自分の部屋にとじこもってしまいました。
「どんな結果になっても、まずは一人で受け止めたいんだな。」と思い、私は1階のリビングで、スマートフォンを片手に、パソコンも立ち上げて、じりじりとその時を待ちました。

いよいよ発表の時刻になって、大学のホームページにアクセスしてみました。でも、なかなかつながりません。全国の受験生やその家族が一斉にアクセスするのですから、つながりにくいことは想定していました。が、いつまでもつながらないのは、心臓に悪いものですね。
スマートフォンとパソコンから何度もアクセスを試みるうちに緊張はピークに達し、心臓は飛び出そうだし、手は震えるし・・・。
このとき、私のスマートウォッチは、「最大心拍数を更新した」ことを知らせていました。どんなに運動しても出したことのない過去最高の心拍数を、娘の合格発表で記録することになるとは・・・(苦笑)。
娘の部屋からも何の音も聞こえてこないので、娘もまだつながらないのか、それとも不合格で泣いているのか・・・悪い想像が頭をめぐり、喉はカラカラで、冷や汗まで出てきます。
「あぁ、もう吐きそう・・・。」

そう思ったとき、私のスマートフォンが鳴り、夫から、
「受かってたねー。」
というメールと、娘の受験番号をスクリーンショットした写真が送られてきました。

なんと、職場のお昼休みにスマートフォンで合格発表をチェックした夫が、いちばん先につながっていたのです。
「えっ、ほんとに!?」

夫に返信するより先に、娘の部屋に駆け上がりました。
「つながった!?」
と聞くと、
「やっと今つながったところ・・・。」

と言うので、合格は自分で知ってほしいと思い、夫から合格を知らされたことはまだ娘には言わず、娘が自分で合格発表を確認するのを待ちました。
青ざめた表情でスマートフォンの画面をスクロールする娘・・・。





「・・・あ!あった。あった!」
と、娘が小さくつぶやき、安堵の表情に変わりました。

私もそこでやっと、娘のスマートフォンを一緒に見て、
「あったね!本当にあるね!」
「さっき、パパからも、受かってたねってメールが来たんだよ。」
と伝えることができました。

でも、娘はそれを聞いても、飛び上がって喜ぶわけでもなく、淡々としています。
「嬉しくないの?」
と聞くと、
「嬉しいよ。嬉しいけど、今はホッとしたっていうほうが強いかな。」
と言いました。
娘の高校は、いわゆる地方の公立トップ校でしたが、東大に現役で合格するのは、毎年数名程度です。娘は、知らず知らずのうちに、学校の期待も背負っているような気持ちになっていたのでしょう。
だから、喜びよりも安堵のほうが強かったのだと思います。
でも、学校に合格を報告し、兄や祖父母にも合格の連絡をしているうちに、だんだんと喜びがこみあげてきたようで、顔にも血の気が戻り、笑顔も出るようになりました。

そんな娘を見ているうちに、私の心拍数も落ち着き、そこでやっと、夫に返信しました。
(でもまたすぐに、入学手続きや住まい決めで怒涛の日々となり、いろんな意味で心拍数が上がることになるんですけどね。)

その夜は、もう私に夕食を用意する気力体力が残っていなかったこともあり、お寿司をテイクアウトして、家族だけでささやかなお祝いの会をしたのでした。受験期は体調管理に徹してナマモノもしばらく避けていたので、久しぶりのお寿司がとても美味しく感じられました。

お寿司を食べた後、受験勉強から解放された娘は、久しぶりにリビングでくつろいでいました。
「リビングでくつろぐ娘を見るのは、何年ぶりだろう?」
そう感じるほど、全力で駆け抜けた受験期でした。

幼い頃から、早生まれのせいか「ぽやん」としてマイペースだった娘が、まさか東大生になる日が来るなんて・・・。

私は自然と、生まれた時からの娘の思い出を、振り返っていました。

続きます。

※ストーリーは実話を元にした創作マンガです。
[脚本]Maman [作画]dechi

Maman
夫と大学生の息子・娘の4人家族。
学習教材制作業の傍ら、子どもの学習習慣の作り方や学習計画の立て方を伝えながら、スケジューリング(時間管理)とジャーナリング(書くこと)で幸せな親子を増やす発信を続けている。

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