離乳食で困っている、うまく食べてくれない、アレルギーも気になる…今回はそんな悩みについて、医院で離乳食・おやつ教室も開催しているこどもと女性の歯科クリニック院長、岡井有子先生にお伺いしました。
偏食で困っていますが、どのくらい注意すべき?
離乳食期の偏食は、特に問題ありません。離乳食は赤ちゃんの口を育てる目的のものですので、食べるものや量は問題ありません。
もちろん、健康面でも大丈夫です。赤ちゃんは私たちより動物に近いですので、生命の危機になるまで食べないことはありません。
大人になったら偏食は治りますか?
食べることも、経験です。
さまざまな経験を積むことで子どものころは食べられなかったものが、問題なく食べられるようになります。小学校の先生は、一年生の春にはほとんどのものを食べられなかったお子さんが、一年生の冬にはある程度食べられるようになるとおっしゃいます。
今は、昔ほど厳しく居残り給食をさせられることはなくなりましたが、それでも好きなもの以外に少しずつ練習をすることで食べられるようになった。経験ってすごいですよね。
離乳食が進みません
赤ちゃんにも自分のペースがあります。離乳食の時期だからといって、月齢で決まってしまうことはありません。赤ちゃんの意欲が重要になります。
また、その時に赤ちゃんが食べたいと思うような食材を準備しましょう。何も味のないササミを食べたいと思いますか?私は嫌です。「おかゆにいちごジャムをのせましょう」なんてメニューもありますが、お母さんたちは食べたいと思いますか?実はおいしいのかもしれませんが・・・。
また、アレルギー反応がでるかもしれないと思い、食べさせることに躊躇してしまう方もいますが、お母さんのおっぱいは飲んでいますか?
私が実践していたことですが、まずお母さんが毎日の食事の中で、小麦や卵などいつもより少し多めに摂ってみます。日によって多くする食材を変えることが重要です。私の娘は卵を多くした日に肌に症状が出ました。これを何度か繰り返すと、明らかに卵の日に症状が出ることがわかります。もちろんアレルギー検査も受けましたが、卵だけプラスででました。小麦は大丈夫でしたので、娘の場合は、卵の入ったパンを少量から始めることにしました。
もし、アレルギーが心配な時はママのおっぱいから始めましょう。
そして、お子さんが食べ始めるときも、そのものでなく大丈夫な食材に混ざったものから、そして無理のない量から始めましょう。
離乳食を始める時期として大切なことは、
1)おっぱいが上手に飲めるようになってから(3-4時間おきにリズムができる)
2)自分で座ることができる(ハイハイをしてから)
3)食べたい意欲がある(よだれが出る・ほしそうにする・手が出るなど)
個人差が大きいので、離乳食をスタートする時期でも、お子さんの様子を見て始めましょう。
また、始めたからといって、すぐに食べられるものではありません。
赤ちゃんが食べなくても気にしないことが一番。先が長いですからね。
一生懸命つくった離乳食を食べてくれないとがっかりするので、簡単な手つかみ食べ食材から始めましょう。
実は手つかみ食べの方が上手に口が育つのですよ。
なぜ手つかみが良いのでしょうか?大脳の感覚野に入ってくる情報は手からと口からの情報がほとんどです。(ペンフィールドの図を参照)
このことからわかるように手つかみ食べは、感覚の情報をたくさん得ることができ、正しい発達を促すとともに、目と手と口の協調に役立ちます。手でつかんだ食材を握り、手で感じた感覚を口で感じます。また同時に目でも見ていますので、手と目と口の協調練習ができます。目で見えない口に食材を持っていくことができるって、実はすごいことですよね。
また、この時の座り方は、仙骨を立てて座れるように。仙骨・膝が直角になり、足裏が床につくように座らせます。高さの調整できるような椅子を選んでいただくのが良いと思います。小学生になっても同じです。大人椅子より子ども用の高さの調整できる椅子を使いましょう。
まだ座れないけれど、離乳食を始めたいお子さんは、ご両親のお膝の上に座らせてください。この場合も姿勢は同じです。足裏が床につくように、赤ちゃんの膝と仙骨は立つように注意して座らせます。この時、おなかは大人の腕で支えてあげましょう。
次に、上手に食べられるようになるには、左右均等に育ててあげることが重要になります。
寝返りの左右差・ハイハイの左右差などがないように育てましょう。
好き嫌いなく、色々と食べられるお子さんになるよう、頑張りましょう。
[執筆者]
岡井有子先生
こどもと女性の歯科クリニック院長
[プロフィール]
看護師として京都市内の産婦人科勤務を経たのち、大阪歯科大学に入学。
同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を専攻。一般歯科医院勤務を経て、2017年7月に『こどもと女性の歯科クリニック』を開院。
「顎顔面口腔育成療法」により子どもたちの健康な発育をサポートし、ママへの抱っこや離乳食の講座なども開催している。
[略歴]
京都市内産婦人科勤務
大阪歯科大学 卒業
大阪歯科大学大学院歯学研究科(小児歯科学専攻)修了
大阪歯科大学大学院歯学研究科 非常勤講師
[所属学会]
日本小児歯科学会
日本小児耳鼻咽喉科学会
[所属研究会]
顎顔面口腔育成研究会
赤ちゃん歯科ネットワーク
母子フィジカルサポート研究会
こどもと女性の歯科クリニック
https://cw-cl.jp/