子どものおねしょが治らない・・・いつ頃までおねしょをしていても問題ないの?そんな疑問について、鶴泌尿器科クリニック院長、鶴 信雄先生にお伺いしました。
「またおねしょしたの?」「一体いつになったら治るのかしら」子育て中のママさんたちの悩みに、子どものおねしょがあります。
ただでさえ忙しいのに布団を乾かして、洗濯して、怒りたいけれど怒れない、怒っても本人は涼しい顔で余計に腹が立つ!
でも、本当にいつか治るのかしら?幼稚園の時、小児科の先生に一度相談したら、いつかは必ず治るから辛抱強く面倒見てあげなさい、って言われたけど大丈夫?でもどこに相談すれば良いんだろう?
こんなママたちの質問に答えたいと思います。
おねしょって?病気の可能性もあるの?
おねしょ(夜尿症)は5歳以上のお子さんが寝ている間におしっこを漏らしてしまうことです。
年に数回であればたまたまかもしれませんので、許してあげてください。
まあ、泌尿器科の外来に来られるお子さんは、大抵、週に3~4回以上、毎日という子もいます。
知っておきたいポイントは2つ、昼間も尿漏れがあるか?夜中に自分で起きてトイレに行くことがあるか?です。
病院に行くタイミングは?
昼間も尿漏れがある場合には、何か病気が隠れている可能性がありますので、泌尿器科専門医に相談した方が良いです。
夜中に自分でトイレに行くことがあるなら、おねしょ卒業間近かも知れませんので、早寝早起きの規則正しい生活と、寝るまでの水分を控えながらもう少し様子を見ても良いでしょう。
それでも治らない場合、泌尿器科に相談してみてください。
得意ではない先生もおられますので、事前に電話でおねしょの診断と治療を行っているか確認した方がいいです。
診察は簡単な問診と尿検査、場合によってはエコー検査などを行います。まずは上記の生活習慣の改善と水分・塩分制限、寝る前に必ずトイレに行くことを指導します。私のところでは、それに加えて排尿日誌をつけてもらっています。
知りたい点は2点、寝ている間の尿量と、昼間我慢ができる尿量です。単純に、我慢尿量>夜間尿量なら、トイレに起きなくてもおねしょはしないはずです。
ここでくじけて、来なくなってしまうママさんは次の治療にたどり着けません。可愛いお子さんのために何事も根気よく。
おねしょの治療方法は?
治療は2つあります。
1つめはお薬を使う治療です。飲み薬はデスモプレシンという、腎臓で尿を作るのを強制的に止める薬を使います。単純に、尿が少なくなる→朝まで膀胱に尿がたまらない→尿漏れしない、という理論です。おねしょがあってもその時間が少しずつ朝に近づいていれば、効いている証拠です。腎臓の働きや電解質に異常がないか確認する目的で血液検査が必要になります。
2つめはアラーム療法です。下着の中に発信機を入れておいて、おねしょで濡れると光と音で知らせてくれます。すぐにトイレに連れて行って排尿させてください。正確な機序は不明ですが、音で目が覚めた瞬間に尿意を我慢するので膀胱訓練になる、夜間の尿産生量が減少する、といった理由が挙げられています。
実は、大人でも1%程度おねしょが続く人がいます。また、難治性の夜尿症のお子さんの中に、多動性障害(ADHD)などの精神疾患が隠れている場合もあります。
いつかは治るだろう、と放っておかずに、早い段階から対策と治療を始めるべきです。
ママさんたちの努力でも難しいときには、是非、専門医を頼ってください。
出典:夜尿症ガイドライン2021:日本夜尿症学会、(株)診断と治療社
[執筆者]
鶴 信雄先生
鶴泌尿器科クリニック 院長
[プロフィール]
1993年浜松医科大学医学部を卒業。静岡県内の病院でがん治療と腹腔鏡手術を多数手がけ、2017年に鶴泌尿器科クリニックを開業。夜間頻尿治療をライフワークとし、既存の薬物治療だけでなく、国内で導入されたばかりの高強度磁気治療器で尿失禁やED治療も行っている。また、前立腺肥大症の日帰りレーザー手術は全国でも数少ない施設のひとつである。学会、研究会での講演活動の他、メディアでも排尿や性機能に関する記事も監修している。医学博士、浜松市医師会理事。
[鶴泌尿器科クリニック]
http://www.tsuru-clinic.com/