【全話公開】私をいじめたあの子が母になっていた

勤め先に派遣社員として入社してきた女性は、小学生の頃に私をいじめていたエリ子！でもエリ子は気づいていないようでした。私を忘れていて。どうか思い出さないで。...

私は小学生の時に母を悲しませたくないという理由で、いじめられていることをずっと隠していました。いじめのことがわかった時、母は泣いていました。そして中学校受験を勧めてくれたのでした。...

子どもの頃に私をいじめていたエリ子が入社してからずっと憂鬱な気持ちで出勤して１ヶ月。大人になってからもいじめられるのではないかという不安もよぎってしまうのです。...

小学校へ行けていないという息子の友達の話を聞き、自分の時は無理に学校へ行かなくても良い、違う道を探そうと言ってくれた母の言葉を思出すと同時に、いじめのことを忘れて笑っているエリ子の顔が浮かび、心がギュッとなりました。...

子どもの頃には楽しい思い出しかなかったというエリ子がどうしても許せませんでした。あなたは忘れているかもしれないけれど、私の傷は一生残っている。...

学校へ行きたくないという元いじめっ子の息子。もしかしていじめにあっているのでは？私と同じ思いはして欲しくない・・と思いきや楽しく通っていると聞きモヤモヤしてしまいました。...

本当は最初から気づいていました。派遣先の会社に、私が昔いじめていたあの子がいることを。もしかしてあの子も気づいているかもしれないけど・・昔のことだし、今幸せそうだし、いいじゃない。...

自分の息子が学校でいじめられている・・私がしてきたことをされている・・。息子に最低だと言われ、私はどうすればいいのでしょう。...

いじめられている息子を心配して声をかけてくれたのに、私はウソをつきました。私をいじめていた罰だ、ざまあみろと思われるのではないかと・・逃げてしまったのです。...

私がここにいてはハルカが嫌な思いをする・・私は派遣の更新をせず、最後の出社日にハルカに謝罪しました。...

私はハルカに謝りました。私がしてきたひどい行いを息子が許してくれなくても、これから親として一緒に悩み、フォローしていきたい。それだけは息子に伝えたかったのです。...

エリ子の派遣期間が終わる。もう会わないで済むかと思うとホッとするほど、私をいじめていたエリ子の存在が消えていなかったのです。エリ子も覚えていたんだ・・謝罪されても、一生許すことなどできません。...