日差しが強くなる季節。子どもの日焼け対策はどうしたらいい?そんな疑問に、医療法人鶴町会つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック副院長鶴町宗大先生にお答えいただきました。
子どもは日焼けしやすい??
子どもは大人と比べて、外で遊ぶことが多いなどの状況から紫外線に曝露する機会が多い現状があります。そのため、紫外線による肌のダメージを受けやすくなっています。
紫外線による肌への影響は、急性の障害と慢性の障害に分かれます。
急性の障害では、日焼け後に肌が赤くなり、ヒリヒリします。時には、水膨れ(水疱)も生じ、火傷と同じ状態になります。その後、茶色の色素沈着となっていきます。
また、慢性の障害では、将来的にシミやシワなどの光による老化や皮膚癌発生に繋がります。
そのため、親御さん達には、正しい紫外線への知識とその対策を知っていただくことが大切です。
紫外線への対策方法
[1]長時間の紫外線曝露を避ける
冬が終わり、春を迎えると紫外線の量も多くなってきます。
また、気温が暖かくなり、子どもが日中に外で遊ぶ機会も多くなります。
そのため、適切な紫外線に対する防御行動が大切です。
具体的には、
・過度に日が当たる環境を避ける
・屋外では帽子をかぶる
・風通しを考慮した上で、紫外線になるべくあたらない範囲の洋服を着せる
などの工夫が必要です。
[2]日焼け止めの選択
日焼け止めの成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤(ノンケミカル)があります。
一般的な日焼け止めは、この両方を適宜組み合わせながらつくられています。
このうち紫外線吸収剤は有機系素材であり、時に肌へのアレルギー症状などを引き起こすことがあることも知られています。
そのため、子ども用日焼け止めでは、紫外線吸収剤フリーでつくられているものが多くあります。肌が弱いお子さんには紫外線吸収剤フリーのものを使うなど、肌に合うものを使ってあげてください。
また、紫外線防止効果として SPF(紫外線B波への防御効果指標)とPA分類(紫外線A波への防御効果指標)があります。
日常生活(買い物、外出など)においては、SPF10-20、PA+~++程度の日焼け止めであれば問題ないと考えられます。
屋外スポーツやレジャーにおいては、SPF30-50、PA++~+++程度の比較的防御効果の高いものを選択することをおすすめします。
そして、多く汗をかく場合やプール・海水浴などの場合には耐水性があるものがおすすめです。
日焼け止めの賢い使用方法としては、
(1)目的や肌の状態に合わせて適切な日焼け止めを選択する
(2)塗り残しが無い様に必要箇所に十分量を塗る
(3)定期的に塗り直しを行う
この3点が大切です。
医療機関を受診するタイミングは?
日焼け止めの塗り忘れや適切な使用がなされておらず、日焼け症状が強く出ることがあります。具体的に、肌の赤みやヒリヒリ及び水膨れ(水疱)などが生じた場合には、早めに皮膚科などの医療機関の受診をおすすめします。炎症を抑える外用剤などの処方で、症状の改善が見込まれます。
紫外線の影響と適切な紫外線対策についてまとめました。
これをお読みになることで、紫外線に対する理解が深まっていただいたと思います。
しかし、子どもの成長を考えると過度に屋外での活動を制限することは得策ではありません。そのため、適切な日焼け止め使用を心がけながら、帽子などを併用して生活していくのが良いと思います。
また、日焼けによる肌トラブルでお困りの際には、お近くの皮膚科などの医療機関受診していただき、医師に相談いただくことも大切です。
執筆者
鶴町 宗大
医療法人 鶴町会 理事
つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック 副院長
【経歴】
獨協医科大学医学部卒業後、都内での初期研修を経て順天堂大学浦安病院 皮膚科教室に入局。
主に、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚腫瘍などの一般皮膚科疾患などを診察し、皮膚科専門医を取得。
加えて、皮膚の加齢性変化に関して大学院にて研究を行い医学博士を取得。
また、入局と同時期につくば・土浦鶴町皮膚科クリニックにて非常勤医師として勤務開始し、一般皮膚科のみならず、美容皮膚科診察も開始。
2023年4月よりにつくば・土浦鶴町皮膚科クリニックの副院長として常勤勤務を開始。
皮膚科・美容皮膚科を通じて、健康で美しい肌の実現を目指して、肌の悩みをトータルにサポートできるよう診療を行っている。
【保有資格・所属学会】
皮膚科専門医
医学博士
つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック
https://tsurumachi.jp