1本1万円する日本酒をサラリと買ってきた夫

ボロボロの身体とモヤモヤした気持ちでも「私はお母さんになったんだから我慢できる。頑張れる。」と自分を奮い立たせて過ごしていたある日。夫の言葉に思わず「え?なに・・・って?」と聞き返してしまいました。

ご機嫌の夫は日本酒の瓶を渡しに見せながら、もう一度言いました。「だからー、今日みんなで話してたら、日本酒の話になってさぁ。良いのがあるって言うから帰りに買ってきちゃった。」嬉しそうに話す夫から受け取ったお酒の瓶は、確かに高級そうな感じがしました。「そうなんだ。すごく良さそうなやつだね。」というと、満足げに「そうなんだよー」と夫。

「これ1万円したんだ。」とサラリと言ってのけました。
このお酒が1本1万円と聞いて「いちまっ・・・!?」言葉を詰まらせてしまった私。私の中で、何かが溢れてくる感じがしました。今度はそう簡単に「そうなんだ」なんて言えませんでした。

1万?それってコーヒー何倍分?スーパーで我慢したお菓子なら何個買える?1万あったら、疲れて、疲れて、それでもまだ頑張ってる自分に・・・自分のためだけにオシャレなカフェでパンとコーヒーを・・・。我慢できると言い聞かせて頑張って蓋をしてきた思いが溢れ出てきました。

私の気持ちはお構いなしの夫。「アレ、ダメだった?でも本当美味しいらしくてさ~。それに合うつまみも買ってきたし、今夜は飲むぞ~!」とウキウキしていました。そうやって今夜も自分だけの時間を満喫して、何にも邪魔されることなくぐっすり朝まで眠るんでしょう?

「お酒に1万円なんて・・・私だって、コーヒー、飲みたいのに!」夫に言いながら、涙が溢れ出てきてしまいました。今まで気づかないようにしていたよくわからない感情を出し切るかのように、久しぶりに、私は声をあげて泣きました。こんなに感情を出したのはいつぶりだろう。

突然泣き出した私に戸惑い立ち尽くす夫に「もういいっ!」と背を向け、私はこの夜、夫の顔も見ず、一言も話さずに過ごしました。
慢性的な寝不足と溜まりすぎた疲労。そして「お母さんだから」全部自分一人で完璧にやらなくちゃ、頑張らなくちゃとかなりストレスが溜まっていたのですね。ご主人としっかり話し合えるといいですね。
※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
監修・校正:ママ広場編集部 編集:石野スズ
脚本・作画:めめ
のらりくらりと育児をしながら日常のイラストを描く4児の母。