弟優先実母[8]家族から離れられるチャンス

「新しい服買っちゃった!」
「その髪色かわい~」「マジ?ありがと~」
「聞いてよ。こないだ彼氏が~」
とお昼休みにキャッキャッとトークする同僚たちを見てマサミさんは羨ましい気持ちでいっぱいでした。みんなのように自分のためにお金を使ってオシャレしたり遊びに行く楽しみは何一つ叶いません。
昼休みが終わり上司から「マサミさんちょっといいかな?」と呼ばれました。

「・・・ということで地元から離れるのはつらいかもしれないけど・・・今新しいプロジェクトが動いていてね。転勤お願いできないかな?」と、上司の話は転勤を伴う新プロジェクトへの参加の打診でした。夢にも思わなかった嬉しい話にマサミさんの顔はパッと明るくなりました。
マサミさんは家族と離れられるかと思い「前向きに検討したいです・・・!」と返事をしました。

帰宅したマサミさんは、「ねぇ・・・お母さん。実は今上司から転勤の話が来てて・・・私行こうと思うの。」とさっそくお母さんに転勤のことを伝えました。
すると「え?何言ってるの。お断りしなさい。」怪訝な顔をしたお母さんが即答しました。

「で・・・でも・・・」とマサミさんが言いかけるとお母さんは「あのね、カズキが浪人してるのよ!?ここが正念場なの!!あなたが応援しなくてどうするのよ!?」と怒りはじめました。娘が職場で認められて新しいプロジェクトに声がかかっている名誉なことですが、お母さんの頭の中にはカズキさんのことしかないようです。
マサミさんは「分かってるよ・・・!でも転勤するとお給料も上がるんだよ。寮もあるし仕送りはしっかりするから!」と言いました。

「それに断ったらお給料も下がるかも・・・」とお金のことを出すとお母さんはあっさり「確かに断ると印象が悪くなるかもしれないわね。あなたがそこまでカズキのことを考えてるんなら・・・」と転勤を了承してくれました。
「う・・・うん。カズキのためにもお金かせぎたい。私・・・頑張るね!!」とお母さんを説得することができホッとするマサミさんでした。
優秀なマサミさんが仕事で認められたからこその新プロジェクトの話ですが、お母さんにとってはカズキさんにかかるお金のことしかないようです。実家を離れたところで新たな生活を始められそうなマサミさんを応援したいですね。
※ストーリーはフィクションです。 登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。 創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:みつけまま
2020年生まれ長男・2023年生まれ次男を育児中のワーママです。
育児の記録のため、絵日記をゆるゆると描いています。