感染性胃腸炎にかかった時は?予防策について医療法人社団筑三会理事長鈴木隆二先生にお伺いしました。

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子どもがノロウイルスにかかってしまい、うっかり自分まで感染してしまった!改めて気を付けたいポイントや予防方法について、医療法人社団筑三会理事長鈴木隆二先生にお伺いしました。

感染性胃腸炎(ノロウイルス)の基礎知識

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌が胃や腸に感染することで炎症を引き起こす病気です。中でもノロウイルスは特に感染力が強く、冬場に流行しやすいことで知られています。ノロウイルスは食品や水を介して感染することが多く、特に二枚貝(牡蠣など)の摂取が原因になることがよくあります。さらに、人から人への感染も頻繁に起こり、保育園や高齢者施設など集団生活を行う場所では集団感染が発生しやすいです。

主な症状と経過

ノロウイルスによる感染性胃腸炎では、感染後1~2日ほどで症状が現れます。主な症状は以下の通りです。

・吐き気・嘔吐: 特に子どもに多く見られます。
・下痢: 水様性の便が出ることが一般的で、腹痛を伴うこともあります。
・腹痛: 胃や腸の強い痛みが起こることもあります。
・発熱: 軽度の発熱が見られることがありますが、高熱になることは少ないです。

これらの症状は通常1〜3日程度で自然に回復しますが、免疫力が低い高齢者や乳幼児、あるいは基礎疾患を持つ人では重症化することがあります。特に脱水症状には注意が必要で、十分な水分補給が不可欠です。

感染経路と予防法

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、さまざまな経路で感染する可能性があります。

1.飲食物による感染: 特に生または加熱不十分な二枚貝を摂取した場合に感染することが多いです。
2.接触感染: ウイルスが付着した手で口に触れることで感染が広がります。例えば、感染者が触れたドアノブやおもちゃなどからも感染する可能性があります。
3.飛沫感染:吐物や便からのウイルスが空気中に飛散し、それを吸い込むことで感染することがあります。

治療方法と注意点

ノロウイルスに対する特効薬は存在しません。治療は対症療法が中心となり、主に次のことに注意する必要があります。
水分補給: 下痢や嘔吐による脱水症状を防ぐために経口補水液を使用することが推奨されます。特に子どもや高齢者は脱水のリスクが高いため、こまめな水分補給が重要です。
・食事管理: 症状が改善するまで無理に食事を取らず、消化の良いものを少しずつ摂取することが望ましいです。
・医療機関への受診: 症状が重い場合や、脱水症状が強いときは医療機関を受診することが重要です。

予防策と環境対策

ノロウイルス感染を防ぐためには、以下の対策が有効です。

・手洗いの徹底: 食事前やトイレの後には必ず石鹸と流水でしっかり手を洗うこと。
・食品の十分な加熱: 特に牡蠣などの二枚貝は85℃以上で1分以上加熱することでウイルスを死滅させることができます。
・消毒の徹底:ノロウイルスはアルコール消毒では不十分であり、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム約0.1パーセント濃度の希釈液)が有効です。吐物や便を処理する際は手袋とマスクを着用し、処理後の周囲をしっかりと消毒することが求められます。
・感染者の隔離: 集団感染を防ぐため、感染者は症状が治まってからも2〜3日は感染の可能性があるため、できるだけ人との接触を避けることが望ましいです。

おわりに

ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、特効薬がないため予防が最も重要です。家庭や職場での適切な衛生管理と、感染が疑われる場合の迅速な対応が必要です。特に集団生活の場では、ひとたび感染が広がると大規模な感染となりやすいため、予防策の徹底が求められます。万が一感染した場合でも、適切な対処を行えばほとんどの人は自然に回復します。普段から手洗いを徹底し、健康管理に気を配りましょう。



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