食器を共有でうつると言われているのは虫歯だけ?虫歯予防のためのフッ素の効果について歯学博士高良先生にお伺いしました。

「食器の共有で虫歯がうつる」と言われていたけれど、今は違うの?じゃあ、他にうつる可能性もあるものもある?そんな疑問に、医療法人社団タカラ会タカラデンタルクリニック 高良巌先生からお答えいただきました。

「食器の共有で虫歯がうつる」は迷信?


「食器の共有で虫歯がうつる」という説は、科学的には証明されていません。
最近の研究によれば、子どもは生後4カ月から親の唾液に接触しており、離乳食が始まる生後5~6カ月以前から既に感染していることがわかっています。そのため、食器の共有を避けることで口腔細菌の感染を防ぐ効果はないとされています。共有を避けることで効果はないので、そこまで気にしなくていいということになります。

虫歯の予防について

虫歯予防にはフッ素の塗布が重要です。歯が生えたら始めて医師の指導のもと、フッ素を使うことをおすすめします。フッ素塗布の開始時期は乳歯が生え始める生後6か月頃から始めることが推奨されています。特に乳歯が生え始める1歳から永久歯が生え揃う12歳頃までの間は、定期的なフッ素塗布が推奨されています。
フッ素入り歯みがき粉の使用は生後6か月頃から使用可能ですが、年齢に応じた適量を守ることが重要です。
〇生後6か月~3歳: 米粒程度
〇3歳~6歳: エンドウ豆一粒程度
〇6歳~12歳: 歯ブラシのヘッド全体

フッ素の効果

エナメル質の強化: フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸に対する耐性を向上させます。
虫歯予防:虫歯菌の活動を抑制し、虫歯のリスクを減少させます。
初期虫歯の修復:初期の虫歯の進行を防ぎ、改善する効果があります。
フッ素の塗布の頻度は歯科医師の判断に従い、家庭でのケアも注意深く行いましょう。虫歯予防に関する知識を広めることが大切ですね。

口腔細菌が増えるとどうなる?

一方で、口腔細菌が過剰に増殖すると、これらの微生物が肺に吸い込まれることにより肺炎、歯肉炎などで血液を介して心臓に移動して心内膜炎をおこす原因となることがあります。他の病気に関しては、口を介して感染が広がることがあります。たとえば、風邪やインフルエンザなどのウイルス性の疾患は、飛沫感染や接触感染によって口を介してうつる可能性があります。これらは虫歯とは異なるメカニズムですが、口腔衛生が不十分な状態であれば感染リスクが高まることがあります。
したがって、虫歯自体は一般的には共有されるものではないとされていますので食器の共有はしても良いですが、口腔内の衛生状態は全般的な健康にも関わるため、注意が必要です。
お子さんや家族のためにも、お口の健康には気を付けるようにしたいですね。

執筆者

高良 巌(Iwao Takara)先生
歯学博士
医療法人社団タカラ会タカラデンタルクリニック院長

明海大学卒業後、歯科医院に勤務する傍ら国内外の大学、研修機関、および学会にて歯科医療についての研鑚を積む。
その経験と習得した知識や技術を生かし、恵比寿ガーデンプレイス内にてタカラデンタルクリニックを開院。
スウェーデン・UCLA・USC・ロマリンダにて留学研修を重ねたのち、噛み合わせ治療・審美歯科・矯正歯科・インプラント治療を専門に行っている。

所属学会
日本顎咬合学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
日本MEAW研究会

資格
日本顎咬合学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専門医
DGZI国際インプラント学会ドイツ本部スペシャリスト(専門医)
国際口腔インプラント学会 指導医
アメリカレーザー歯学会 認定医

医療法人社団タカラ会タカラデンタルクリニック
https://takara-dental.com/

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