中学生になってから勉強習慣をつけるのは遅すぎる?勉強への「やる気」、どうやって身につけさせればいいの?そんな疑問にお答えします!

中学生になって勉強が遅れないか心配…でも、小学校のときはそんなに厳しくしていなかったし、今さら習慣をつけるのは難しいかも・・・?そんな悩みについて、読書指導と勉強法の指導をされている株式会社J-エデュケーション代表取締役、寺田 昌嗣さんにお伺いしました。



中学生になってから勉強習慣をつけるのは遅すぎる?

小学生の頃はそれほどがんばらなくても、成績のことを深刻に考える機会も少ない場合も多く、あまり「勉強習慣」を考えてなかったというご家庭も多いかも知れません。
しかし、中学校に入ると、定期テスト、外部模試、内申点、入試などなど、突然「勉強しなきゃ!」という雰囲気に包まれます。
そこまで勉強の習慣がついていなかった子も「やらなきゃまずいかも」と思うもの。そして、ご安心ください。勉強の習慣はいつからでもつけられるものですから。

きっかけは何であれ、保護者の方には、そういう「よしやろう」とか「やばい、やらなきゃ」という気持ちを、うまく汲み取って勉強を習慣にする応援と支援をしていただきたいものです。

勉強への「やる気」、どうやって身につけさせればいいの?

最初のやる気をうまく習慣にしていくのは、なかなか上手くいかないかもしれません。そこで「あんた、勉強するんじゃなかったの!」と厳しく言ったり、「とりあえず塾に行けばいいでしょ」と人任せにしてしまったりということがないようにしたいものです。

勉強の習慣化には「モチベーション」が必要ですが、そのサポートこそ保護者の出番。
最初のモチベーションが生まれた後、それが続くかどうかは、1.環境と2.「自分はやればできる!」という気持ち(これを自己効力感と呼びます)という2つが鍵を握ります。

「環境」整備の第一歩は部屋の片付け。

特にゲームやマンガ、スマホといった誘惑物を「一日何分まで許すか」というルールを自分に決めさせた上で、いったん管理を保護者に任せさせましょう。もちろん、保護者としては「自分で決めたルールは守ろう」という、あくまで応援スタンスで厳しく対応してください。同時に「勉強しなさい」「勉強しないの?」といった“上からの叱責”を封印しましょう。保護者の小言はモチベーションを下げる最大の要因であり、これをおさえるのも立派な環境整備なのです。

次に自己効力感の問題。
塾に行かせても、勉強のやり方が分かっていなかったり、そもそも授業についていけていなかったりすると、「塾以外では勉強できない」「教えてもらわないと勉強できない」という状況に陥ります。
まずは「正しい勉強法」を親子で確認し、無理のないレベルの「やればできるじゃん!」と思えるやり方を採用しましょう。昔と違い、今は「効果的な復習のやり方」や「苦手な数学の勉強がスムーズに進む手順」など具体的な方法が、さまざまな科学的な研究によっても明らかにされています。書店に出向けば、いろいろな勉強法の書籍がありますし、ネットでもたくさん見つかります。

やり方が分かるようになれば、モチベーションUP!

やり方が分かり、自力で勉強できると思えると、子どもたちは驚くほど進んで勉強するようになるものです。私が指導した中学生でも、90分×3回の「勉強のやり方の指導」だけで家庭学習が習慣化し、次の定期テストで70~100点(5教科・500点満点)ほどアップしたという子が大勢います。
ぜひ、一緒に勉強法を学びながら「まずは30分、集中して頑張ろう!」というように声援を送ってください。そして、勉強が終わったら「やった時間(分)」と「集中度(◎○△×)」の2つをカレンダーに記入させてみてください。“勉強が終わったら、すぐに「やれた」ことを記録する”ことはモチベーションを高める効果がありますし、集中度を記録することで、自分の勉強を振り返る習慣(そして改善しようという意欲)が身につきます。

一度、勉強の習慣が身についてしまえば、子どもたちはどんどん難しい課題に挑戦しようと思うものですし、自分の可能性を感じてさらにやる気になるものです。保護者の方には、ぜひよき応援団、支援者、理解者になっていただきたいものです。

追伸:蛇足ですが、難しいことに挑戦したり、問題文を理解したりするための「読解力」だけは、地道な積み上げが必要です。ぜひお子さんが小学生の間に「読書習慣」をつけさましょう。

[執筆者]

寺田 正嗣

[プロフィール]
1970年、福岡生まれ。名古屋大学(法)卒。元福岡県立高校教諭。
現在は教育事業を営む傍ら、九州大学大学院(博士課程)に在籍し読書教育と学習法の研究に勤しむ。
教職在職期間は8年と短期間ながらユニークな授業が評判となり、全国紙一面に授業が紹介されている(1998年元旦・朝日新聞全国版)。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究してきた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。
その効果の高さから、進研ゼミの特集号の監修をはじめ雑誌等の取材も多い。また速読法は私立大学の通年授業として採用された実績もある。
著書には10万部のベストセラー書『フォーカス・リーディング』等がある。

株式会社J-エデュケーション
https://www.kotonoba.jp/

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