心を動かされた映画やドラマ、本はありますか?今回はリソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社コンサルタント 松本雅利さんのおすすめ作品をお伺いしました。
この映画のテーマは、女性のキャリア、家族。主演はケイト・ブランシェット。アカデミー賞も受賞している名女優です。
原作はニューヨークタイムズに連載された小説「バーナデットを探せ(翻訳は2022年11月に彩流社より発行)」です。この原作を読んだケイト・ブランシェットは、映画化の話があったとき真っ先に手を挙げました。「人生に大きな変化が訪れようとしている女性を、とても面白く描いている」と原作についてインタビューで語っています。
極度な人嫌いの母親が南極へ
以下、多少のネタバレを含みます。
主人公のバーナデットは地位も名声もある建築家でしたが、今はシアトルで建築とは離れた毎日を暮らしています。とにかく人と付き合うのが大嫌い。そんな彼女に試練の時がきます。娘のビーが高校で優秀な成績を取ったら好きな物を買ってあげると約束していました。そんな彼女が優秀な成績で卒業。そのご褒美として選んだのは家族で南極に行くことでした。
しかし、そこには大きな問題がありました。南極に行くための船という限られた空間で他人と一定期間付き合っていかなければなりません。そして地球上で一番荒れる海をいくため船酔いも心配。そういうことに次々と不安を覚えたバーナデットは、ストレスから奇行の連続で、家族、隣人たちを振り回します。おまけに、ストレス発散のはけ口だったネット上の話し相手(AIかと思いましたが、そうではありませんでした)が接してはならない人物だったことを知り、家族はそこまで精神的に追い込まれたのか、と彼女を家に隔離することを考えます。そして・・・。
主人公の想いと苦しみ
バーナデットが建築家という仕事を捨て、家事と育児に専念することになった理由は、仕事のトラブルもありましたが、何度かの流産を経験したうえ、娘のビーの出産が難産の上、病弱に生まれてきた娘をヒンズー教の青い女神クリシュナに見立て、娘が助かるために育児に専念すると誓ったことから建築の仕事から離れたのです。
そして今、その娘が成長しバーナデットの元から巣立っていく場面に直面し、バーナデットは戸惑います。建築家としての道を諦め、娘一筋できたのに、その娘が成長したことで生き甲斐を失ってしまうことや、娘がたった1人の友達でいつも一緒だったのに、という思いが強いバーナデット。そのことに大きな喪失感を覚え、さまざまな奇行を繰り返し、追い詰められていく・・・。
孤高の人という言葉がこの映画を見て心に浮かびました。人と接することが嫌いで、常にマイウェイの人という意味ですが、よくよく考えればこの映画の主人公は「孤高」なんかじゃなかったわけです。旦那さんにしても、娘さんにしてもそばで主人公を見守っていたわけですから。家族のありがたみをそこに強く感じます。
バーナデットの例は少し特殊かもしれませんが、夢と家族、どちらを選ぶか?子どもの旅立ちのとき何を思うか?こうした状況は日本も海外も変わらないという印象があります。
この映画はそういったバーナデットの心の揺らぎを、コミカルなストーリー展開で見る人に語りかけてくれます。現在、劇場公開は終わっており、動画配信で見ることができます。お子さんと、またはご家族でご覧になってみてはいかがでしょうか。
執筆者
松本雅利
リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社 コンサルタント
経歴
外資系企業での勤務が長く、さまざまな国の日本法人での経理会計実務を経験、現在はその経理会計キャリアの経験を活かしたコンサルタントとして活躍中。一方、大の映画好き。社会人スタートは映画会社の営業だった事実はそれを裏打ちする。年間鑑賞本数は2023年は70本。複数回見た数を入れるとのべ100本近くになる。見た映画、見る映画の種類はバラエティに富む。アメコミ映画、ミュージカル、日本映画、韓国映画と幅広い。ちなみに2023年に印象に残った映画は、米国マーベル映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3」と日本映画「ほつれる」、そしてケイト・ブランシェット主演「バーナデットママは行方不明」。
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