「負けると泣く、途中で投げ出す子どもにかけたい言葉」について、今回は選択理論心理士でもあるつのだデンタルケアクリニック院長、角田智之先生にお伺いしました。
負けると泣いてしまう、そのお子さんへのご両親の対応について、お話ししてみます。
お子さんが「負けると泣く、途中で投げ出す」とのことですね。
まず、親御さんは、そのお子さんにどうなってほしいのでしょうか?
単純に考えて、「負けても泣かない、負けることから学びを得てほしい、途中で投げ出さず、あきらめない姿勢を大切にしてほしい」といったことでしょうか。
これで、親御さんの望むものが明らかになりました。
求めるものを整理し明らかにしないかぎり、方法は見つかりません。
では、「負けることから学びを得て、あきらめない姿勢を大切にできる」お子さんになってもらうために、今、ご両親は、お子さんになにをしているのでしょうか。
改めて聞かれると思い付かない。
そんなの子どもが自分で学ぶことだ。
そんなことより、大声で泣いたときの対処法を教えてほしい。
と言う方もいそうですね。
ただ、本当に自分が望むことがあっても、その望むことを得るために自ら考え行動をしない限り、それは得られないのではないでしょうか。
ここで原則がでてきます。
それは、「他人と過去を変えることはできない」ということです。
お子さんにそうなってほしいと何か言ったとしても、そのお子さんが自分で納得しないかぎり変わることはありません。
人は、「内発的動機付け」によってしか行動しません。
短期的であれば、強制して言うことを聞かせることはできますが、一時的であり強制力がなくなると戻ります。
人は、他人から強制させたり、変えようとする人には強く抵抗します。
結果、人を変えようとしても変えられず、イライラしてしまいます。
なぜ、イライラするのでしょうか?
それは、コントロールできないこと(お子さん)をコントロールしようとするからイライラする。
つまり、葛藤になります。「葛藤=悩み」ですよね。
おそらく、親御さんは、いろいろ教えてみたり、時には怒ってみたりされたのではないでしょうか。
そのお子さんに対し、例えば、今日から半年間同じことを繰り返し、話したり、怒ったり、あの手この手で声をかけたとして、変わりそうですか?
そうですよね、効果はあまりないかもしれません。
だから、そのような相談が多いのかもしれません。
では、どうしたらよいのでしょう?
そのお子さんとの関係性はいかがですか?
人は、だれでも「自分が正しい」と思っています。
とくに、親子関係であれば、なおさらお子さんについて、「私はあなた(お子さん)にとって何が正しいかを知っている。人生経験もあり、親である私の言うことを聞くのが正しい。」といった思考になってないですか?
これは、原則にある、相手を変えることであり、強制につながります。
「そんなことをいって、放っておいて子どもの好きにさせていたら、ダメな子どもになるじゃないか。」と思ってしまいそうですが、放っておくのではなく、関わるのです。
お子さんが、望んでいることを知っていますか?
お子さんが、一番大切にしているものを知っていますか?
お子さんが、本当に求めているものを知っていますか?
ちゃんと時間をとって話したことがありますか?
これは、そのお子さんとの関わり方で大切なことです。
簡単にできることではないかもしれませんが、そこまでする覚悟があればできます。
人は、自分を変えようとせず、親身になって話を聞き続けてくれる人には心を開きます。
こんな関わりを続ければ、怒って、諭して、言うことを聞かせようとしなくても、親の望むお子さんに近づくのではないでしょうか。
「相手の望みを叶えることを、自分の望みとする。」
これこそが、親子関係に限らず、良い人間関係の本質ではないでしょうか。
上記を踏まえながら、一度お子さんと時間をとり、話してみることもいいかもしれません。
[執筆者]
角田智之先生
つのだデンタルケアクリニック院長
歯科医師
日本選択理論心理学会認定選択理論心理士
[プロフィール]
予防歯科と口腔外科、舌痛症診療を中心にした診療を行っています。予防歯科は唾液検査を実施し、患者さん一人ひとりにデータに基づいたオーダーメイド予防プログラムを提供することで、地域における歯科疾患の予防に努めています。
原因不明の舌の痛みを主症状とする舌痛症は心理的要因にて発症するといわれており、メンタルヘルスが大きく関わっていると考えられています。当院は、数少ない舌痛症を診療するクリニックであり、なかでも薬を使わず心理療法のみで改善することに力を入れています。オンライン診療も行っており、患者さんは全国から受診可能な体制を整えています。そのほか、メンタルヘルスに関する相談も行っています。
心理的側面からの身体への影響は計り知れないものがあり、少しでも心理療法を通して、困っている患者さんのお役に立ちたいと願っています。
つのだデンタルケアクリニックホームページ
http://www.tsunoda-dentoral.net/