子どもの歯ぎしりって大人のように悪影響を及ぼすものなの?そんな悩みについて、高谷秀雄歯科クリニック院長、高谷秀雄先生にお伺いしました。
子どもの歯ぎしりは悪いこと?
子どもが歯ぎしりをしているという相談は少なくありません。大人の歯ぎしりは悪影響が多いため、心配なさる親御さんが多いのですが、実は子どもの場合は心配いらないケースがほとんどです。
子どもの歯ぎしりは歯が生えた頃から始まることもあり、中学生まで続くこともあり、大人と異なり睡眠時だけでなく日中もしていたりします。ただ、そのほとんどは治療が不要なケースで様子を見るだけでよいのですが、子どもが歯ぎしりをしているかどうかを把握することは成長を見守る過程で大切なことといえます。
子どもの歯ぎしりは成長の過程で、生えてきた歯の位置や、アゴの位置を決めようとする生理現象なのです。それぞれが整ってくると、自然と歯ぎしりは終わっていきます。
また、歯の生え変わりによってむず痒く感じる場合にも歯ぎしりをするといわれています。
歯ぎしりをしている時に気を付けたいことは?
子どもが歯ぎしりをしている期間は、歯の状態をチェックすると良いでしょう。
歯科クリニックに通っている場合は歯科医師に任せていただければ良いですが、ご家庭で見る場合は「歯が欠けたりしていないか」「すり減っていないか」「出血していないか」を見ると良いでしょう。小児とはいえ、噛む力が比較的強いケースでは歯やアゴに悪影響を及ぼすこともあります。体格の大きい子、力の強い子は注意したほうがいいかもしれません。
また、虫歯などでクリニックを受診した場合には、担当医にひとこと「夜に歯ぎしりをしている」旨を伝えていただければ相談に乗ってくれるでしょう。仮に治療する場合は「スプリント」と呼ばれるマウスピース型の装置を作成して、睡眠時に装着していただく治療方法があります。
こんな場合は要注意!
ただし、子どもの歯ぎしりでも受診が必要なケースがあります。
もし不正咬合(歯並びが悪い)の場合はそのまま歯ぎしりすると悪影響が出やすいので、小児矯正も扱っているクリニックを受診されたほうがいいでしょう。歯ぎしりが余計に不整咬合を悪化させてしまう恐れがあります。
よく噛んで食事をすることは、身体にさまざまな良い影響を与えることが知られていますが、もちろん歯の成長にも大切なことです。急がずにゆっくり噛んで、テレビなどを見ながらではなく、食事に集中できる環境を整えてあげることも必要でしょう。
[執筆者]
高谷秀雄(たかたに・ひでお)先生
歯科医師(歯科口腔外科)
医療法人雄愛会 高谷秀雄歯科クリニック 院長・理事長
[プロフィール]
「断らない医療」をモットーに、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、ひとりひとりに合った歯科治療の提供を心がけた病院を目指している。
専門は親知らずの抜歯・口腔癌等、歯科口腔外科全般。
審美歯科治療・インプラント治療も得意とする。
高谷秀雄歯科クリニック ホームページ
https://www.takatani-dental.jp