虫歯のなりやすさは遺伝や体質に左右される?虫歯の発生に関係している4つの要素を足立優歯科院長、足立先生に伺いました!

うちの子、なんだか虫歯になりやすい気がするこれって遺伝?そんな疑問について、足立優歯科院長、足立優先生にお伺いしました。



虫歯のなりやすさは遺伝や体質に左右されるんですか?

皆さんはご自身のお子さんが虫歯のない健康な身体で育ってほしいとお考えではないでしょうか?
これは虫歯がどのような病気なのかということを知ってしまえば、その予防はさほど難しいことではありません。虫歯のなりやすさ、なりにくさは、親と似ているため体質や遺伝が関係していると感じがちです。しかし実際には生活習慣が親と同じになってしまうことや、虫歯の原因菌は親から感染することなどから、体質や遺伝と感じてしまうだけで、そのようなことはありません。
虫歯は生活習慣に関わる病気です。そして4つの要素が虫歯の発生には関係します。
4つの要素とは、(1)歯の質、(2)食事、(3)唾液、(4)虫歯原因菌です。
ではひとつずつ見ていきましょう。

(1)歯の質

歯には乳歯と永久歯がありますが、乳歯は妊娠中に、永久歯は出生後から顎の骨の中でつくり始められます。この歯をつくり上げる時期に適切な栄養を摂取しているかがポイントとなります。適切な栄養摂取により、しっかりとした歯の構造ができ上がります。ですから妊娠前からお母さんになる予定の方は、健康な身体を維持するためバランスの良い食事を心がけることがお子さんの歯を強くすることにつながります。

(2)食事

虫歯ができるのは、歯を構成する硬い組織が酸によって溶かされるためです。この酸をつくり出すのが虫歯の原因となる細菌ですが、そのためには原料となる糖分が必要です。糖分はヒトが生活するうえで欠かせない栄養素ですから、口の中に取り込まないわけにはいきません。しかしその取り方を注意すれば虫歯にはなりません。
・味付けを薄味で育てて、甘味嗜好にしないこと
・口の中に食べ物を入れる回数をできるだけ減らすこと
・甘いものは食後のデザートのように、食間ではなく食後に食べること
・「おやつ=甘いもの=お菓子」の考えを捨て、あくまで主食を補う間食と考えること

(3)唾液

唾液の成分は、虫歯原因菌がつくり出す酸(乳酸:これが歯を溶かす)を中和する働きがあります。ですからしっかりと唾液が出るように努めましょう。具体的には食事の時の飲み込むまでの咬む回数を増やすことが適切です。

(4)虫歯原因菌

虫歯を発生させる細菌は、歯がない口の中には住めません。7か月を過ぎて歯が生え始めると、外部から感染して口の中に住み着きます。その感染はほとんどの場合子どもの保護者から発生します。このため以下のことに気を付けることで子どもの口の中に虫歯原因菌が定着することを防げます。
・保護者の口の中をキレイにして、出産までに虫歯を治療しておくこと
・保護者の口から虫歯をつくり出す細菌を取り除く歯磨きを身につけておくこと

子どもが怖がって治療できなくても、気になれば歯医者さんに行ってもいい?

子どもが歯医者さんで嫌な経験をすると、歯医者嫌いとなり、歯医者に行かないことから口の中の問題が重症化することがあります。歯医者に通うことを習慣化することが生涯にわたって歯を守るために重要ですから、この点は慎重に取り組みましょう。

まず大切なことは、歯医者さんに行く前に余計な言葉をかけないことです。

言ってはいけない言葉

 怖くないよ
 痛くないよ
 受診出来たら好きなものを買ってあげるね

言うべき言葉

 キレイになろうね
 頑張れる、大丈夫
   
歯医者がどのような所かを知らないうちに、大人が先んじて「痛い」「怖い」を含んだ言葉を使ってしまうと、子どもはそんなことがあるんだと推察し警戒します。ですから前向きな言葉で応援するような声掛けをしましょう。

歯医者さんのスタイルによりますが、治療を伴わない段階から歯医者さんへ通う習慣をつけさせるため、1回から数回の間は、来院時に椅子に座る、器具になれる、歯磨きだけするなど、「ここは楽しくて安全なところなんだ」と子どもが実感するまでの手間をかけてくれる医療機関があります。事前にこのような情報をリサーチして選んだり、行きたい医療機関に事前相談して配慮したりしてもらうこともできますから、行く前に相談してみましょう。
お子さんが怖い思いをせずに、歯医者さんに馴染めるといいですね。

[執筆者]

足立 優先生
足立優歯科院長

[プロフィール]
昭和60年大阪歯科大学卒業後、勤務医を経て昭和63年アメリカ留学。平成1年に東灘区岡本に「生涯にわたり歯を失わない歯科医療」を目標に足立優歯科診療所を開設する。平成16年には「NPO法人明日の歯科医療を創る会POS」を設立し、「患者中心の医療」とそれを支える「予防型総合歯科医療」の普及に取り組み、患者及び歯科医療従事者に対し講演・執筆活動を展開する。平成23年からは「より良い歯科医療を望む患者支援」を目的として歯科人間ドック(デンタルドック)の提供を開始し、足立優歯科・神戸デンタルドックセンターとして医業展開する。現在新たな歯科医科連携による予防医療の普及を目指し、一社)健康マイスター協会を設立、共同代表理事に就任。

足立優歯科ホームページ
http://www.adachi-dental.jp/

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