子どもの頭痛には噛み合わせが関係ある?N.S.デンタルクリニックの長里先生にお伺いしました。

子どもの頭痛の原因として「噛み合わせ」が関係しているかもしれません。
今回はN.S.デンタルクリニック院長の長里康史先生にお話を伺いました。

その頭痛、実は噛み合わせが原因かもしれません


歯の食いしばりや噛み合わせの悪さが片頭痛の原因となることがあります。改善が見られない場合は、歯科医への相談してみるものよいかもしれません。

噛み合わせで大切なこと

噛み合わせで最も重要なのは、奥歯がきちんと噛めていること(中心咬合位の状態)です。また、中心咬合位で前歯が強く当たっていないことも確認が必要です。
先天的に永久歯が欠如している場合などにより、上下の歯の当たり方が不均等になることがあります。これにより歯の接触位置が変わると、偏頭痛などの不定愁訴(検査では原因が特定できない体調不良)を引き起こすことがあります。
骨格の異常により、上下の歯が極端に当たらない、または当たりすぎる場合、また八重歯で正常な接触が得られない状態は問題となります。
特に重要なのは、下顎安静位(下顎が最も楽な位置)という状態です。
常に上下の歯がくっついている状態は正常ではありません。
また、骨格の異常により、上下の歯の接触が極端に弱いか強すぎないかも確認します。
普段から、上下の歯を常にくっつけている状態は口腔の正常な状態ではないため、意識して改善するようにしましょう。

無意識の食いしばりに要注意

勉強や集中時の食いしばりが頭痛の原因となることがあり、無意識の癖も問題です。頬杖をつくことやバイオリンなどの楽器演奏も顎に負担がかかります。またスポーツの種類によっては、食いしばりが起こりやすくなります。意識的な噛みしめと、睡眠時などの無意識での噛みしめでは、顎にかかる負担が大きく異なります。
マウスピースの使用で偏頭痛が改善されることもありますが、子どもの場合は顎の成長に影響するため使用できません。
子どもの場合は、歯のひびや欠けを完全に防ぐことは難しいものの、可能な限りバランスの良い噛み合わせを維持し、個々の歯への負担を軽減することが最善策です。
理想的な噛み合わせとは、中心咬合位で奥歯の機能咬頭(下の歯は外側、上の歯は内側の隆起)が適切に接触し、犬歯誘導咬合(下顎を左右に動かした時に最初に犬歯が接触する状態)が保たれている状態です。

永久歯が生えない場合も

最近の診療で、永久歯の数が不足している成人患者さんを見かけることがあります。噛み合わせに違和感があり、レントゲン撮影すると、歯が顎の骨の中に埋まったままの状態で発見されることがあります。
犬歯の噛み合わせ不全は非常にリスクが高く、咬合力の分散ができないため、将来的に他の歯を失うリスクが高まります。
最近では、小児期に問題が発見された場合、埋伏した犬歯を外科的に誘導する治療法が確立されつつあります。また、早期対応により審美的な問題も防ぐことができます。成人してからの治療では、歯肉退縮を伴う可能性があります。
歯は一生使う大切な器官であり、歯の喪失は健康に大きな影響を与えます。
早期発見のため、年に1回は必ず歯科検診を受けることをお勧めします。

執筆者

長里 康史
N.S.デンタルクリニック院長

私が噛み合わせについて深く考えられるようになったきっかけは、自分自身の歯ぎしり(就寝時)です。
歯ぎしり対策として、独自開発したマウスピース(就寝時や筋トレ時に使用を推奨)によって、患者さんの不定愁訴(肩こり、頭痛、不眠症など)が改善し、また噛み合わせの是非が理解できるようになったからこそ、このような表現が出来ると思います。
ホームページに貼ってあるSNSにも豆知識が記載されておりますので、是非ご確認頂ければと思います。
気になる事が有りましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

略歴
平成23年 奥羽大学歯学部卒業奥羽大学附属病院 臨床研修
平成24年 都内歯科医院勤務
平成29年 N.S.デンタルクリニック開院

N.S.デンタルクリニック
https://www.ns-dental-cl-smile.com/

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事