食べ物を噛まない子どもにどんな影響がある?くろさき歯科院長黒崎先生にお伺いしました

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4)脳の発達の妨げに

噛む刺激は脳の血流を活性化し、記憶力や集中力の向上につながることが報告されています。逆に噛むことが減ると脳の刺激が足りず、学習にも影響を及ぼす可能性があります(※参考:Mastication as a stress-coping behavior, Frontiers in Neuroscience, 2015)。
これは私見ではありますが、咀嚼は脳の活性化に影響があるなら、認知症にも影響があると考えられます。

5)歯周病リスクと歯の喪失

見落とされがちなのが、「咀嚼不足が歯周病のリスクを高める」という点です。咀嚼には唾液の分泌を促す働きがあり、唾液はお口の中の細菌を洗い流し、歯周病の原因菌の繁殖を抑える重要な役割を持っています。咀嚼が不足すれば唾液量が減少し、歯ぐきの周囲で炎症が起こりやすくなります。これが長期的に続くと、歯周病が進行し、最終的に歯が抜けてしまうリスクさえあります。

「噛まないこと」は、単に顎の発育や消化の問題だけでなく、将来の歯の喪失という深刻な結果にもつながるのです。歯を喪失することで、咀嚼ができなくなり、軟らかいものを食べるようになり、さらに咀嚼力が低下するという悪循環になります。お子さまのリスクから、高齢者になるまでの話につなげたので、驚かれたかもしれませんが、それくらい咀嚼は生活に影響を与えるのです。

保護者の皆さまへ

お子さまがよく噛んで食事をすることは、健やかな成長と将来の歯の健康、そして全身の健康を支える大切な習慣です。ご家庭でも「一口30回噛む」「噛みごたえのある食材を取り入れる」「姿勢を整えて食事する」などを心がけてみてください。合わせて、保護者の皆さまがご自身のお口について再確認をしていただく機会になれば幸いです。
気になる点があれば、歯科医師にご相談ください。

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