
「Aさんの場合、メリット1の税金対策という意味では、受取人を気にされることはなさそうですね。実際の相続税の計算をしてみましょう。」
「相続税には基礎控除があり、Aさんの場合、3,000+600万円×法定相続人3人の4,800万円となります。よって、相続財産が3,500万円であれば、基礎控除内で相続税は課税されません。」(※2)
「もし、相続財産が4,800万円以上であっても、奥様が相続する分は、1億6千万円もしくは法定相続分のいずれか大きい金額まで相続税がかからないという優遇措置があります(配偶者控除)。」(※3)
Aさん「相続人を変更した方が良いラインはどのくらいですか?」
「Aさんの場合、相続税だけを考えるならば、受取人は奥様でもお子様でも大きな差はありません。保険を含めた相続財産が基礎控除4,800万円もしくは配偶者控除1億6千万円を超えると想定される場合や、さらに奥様が亡くなる際の相続財産が基礎控除である4,200万円(3,000+600万円×法定相続人2人)を超えると想定される場合が、ご主人の保険金の受取人を検討する目安となります。」
「現時点では、むしろ、相続税以外のメリット2(財産配分の調整)や3(子供の将来資金の確保)を考慮したうえで、受取人をお子様にするかどうか検討されてはいかがでしょうか。」
「また、生命保険金の満期である60歳からご主人が死亡する70歳までの間には10年ありますので、その間に大きな出来事や出費が発生する可能性もあります。そのような想定外の出費を考えると、保険金の受け取りをお子様にすることがかえってトラブルになる可能性もあります。」
いかがでしたでしょうか?
今回のパターンだと、保険人の受け取りは相続税だけ見ればお子様にするメリットは低く、相続税以外のメリット面を見て検討すべき、ということになります。なお、税法は頻繁に改正されており、特に相続税は強化されているものの一つです。ご家庭の状況が変わることもありますので、定期的に専門家に相談されることをお勧めします。
(※1)国税庁HP 相続税の課税対象になる死亡保険金 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
(※2)国税庁HP 相続税の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
(※3)国税庁HP 配偶者の税額の軽減
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm