会話が苦手な子がつまずく4つのポイントと家庭での関わり方を元小学校教諭が解説

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「話が一方通行になってしまう」「聞いたことと違う答えが返ってくる」。子どもとの会話が続かないと悩む保護者は少なくありません。教員歴十数年でJADP認定上級心理カウンセラーでもあるオンライン専門の教育相談室ボーダレススター代表の貞盛秀明さんが、会話のつまずきを4つの場所に分けて整理し、家庭で今日から試せる関わり方を解説します。

「うちの子、会話のキャッチボールができないんです」。
相談の場で、この言葉を何度も聞いてきました。教室でも、話が一方通行になってしまう子、聞かれたことと少しずれた答えが返ってくる子は、確かにいます。
ただ、私はこの相談を受けたとき、まず一つお願いすることがあります。「会話が下手な子」でひとくくりにしないでください、ということです。
というのも、キャッチボールがうまくいかない理由は、子どもによってまったく違うからです。つまずいている場所が違えば、効く対応も変わる。ここを分けずに手を打つと、たいてい空振りします。
私は現場で、だいたい4つに分けて考えています。

つまずきは、どこで起きているか

(1)相手の話を最後まで聞くのが難しい
話したいことが先に出てしまうタイプです。相手がまだ話している途中で、自分の話にぱっと切り替わる。悪気はまったくありません。頭に浮かんだことが、そのまま口から出ているだけです。経験上ですが、じっとしているのが苦手なタイプの子に多い印象があります。
このタイプは、実は語彙も表現力も豊かなことが多い。だから周りは「聞いていない」と受け取りがちですが、本人としては聞いたうえで、出したいものが押さえきれていない、そわそわとした状態です。
(2)言葉の意味はわかるが、表情や場の空気から意図をつかみにくい
「もうそろそろ帰ろうか」を、提案ではなく質問として受け取る。冗談を額面どおりに返してしまう。こういうことが起きます。
言葉は正確に理解しているんです。ただ、その言葉の外側にある情報、つまり声の調子や表情や場の流れが、うまく入ってこない。ここは本人の努力不足ではありません。
(3)頭の中にはあるのに、言葉に組み立てるまで時間がかかる
これがいちばん誤解されやすいと思っています。
答えを持っていないわけではない。ただ、言葉にまとめるのに数秒かかる。ところが会話の場では、その数秒が待ってもらえないんですよね。沈黙が続くと、大人がつい先回りして答えを言ってしまう。それを何度も繰り返された子は、やがて「どうせ待ってもらえない」と学習して、口を開かなくなります。
(4)そもそも興味が向いていない、または安心して話せる相手ではない
身も蓋もない話ですが、これも本当に多いです。
興味のない話題に反応が薄いのは、大人だって同じですよね。それから、責められる予感がある相手には、誰も本音を出しません。前に話したときに否定された、途中で遮られた、笑われた。そういう記憶があると、会話そのものを閉じます。
「家では話さないのに、祖父母の家ではよくしゃべる」。こういう話を聞いたら、たいていここです。能力ではなく、関係の問題です。
なお、これらを特性の名前で括ることは、私はしません。診断は医療機関が行うものですし、名前がついたところで明日の関わり方が決まるわけでもない。それより、この子はどこでつまずいているのか。そこを具体的に見ていくほうが、はるかに早く手が打てます。

家庭で今日から試せる4つ

○「はい/いいえ」で答えられる質問から始める
「今日、学校どうだった?」。この質問、実はかなり難しいんです。何を答えればいいのか範囲が広すぎて、大人でも困ります。まずは「今日、体育あった?」くらいまで絞ってください。答えやすい質問を数回往復させてから、「何やったの?」と広げる。この順番だけで、続く会話がぐっと増えます。
○返事を待つ時間を、大人が意識して長く取る
教育の世界には「待ち時間」という古典的な研究があります。教師は質問したあと、平均して1秒も待たずに次の言葉を出してしまう。ところが待ち時間を3秒以上に延ばすと、子どもの答えは自然と長くなり、自発的な発言も増え、答えられない子が減る。ロウという研究者が1970年代に示したことです。
3秒。やってみるとわかりますが、これがけっこう長い。沈黙が気まずくて、つい埋めたくなります。ただ、(3)のタイプの子には、この3秒がそのまま出番になります。心の中で数えるだけでいいので、試してみてください。
○話の途中で、言い直しや訂正をしない。最後まで聞いてあげる
順番が前後していても、主語が抜けていても、最後まで聞く。途中で「それ違うでしょ」「もっとちゃんと言って」を入れると、その瞬間に子どもの意識は内容から「怒られないための言い方」へ移ります。伝わったかどうかが大事なのであって、正しい文で話せたかどうかは、そのあとの話です。
○好きな話題から入って、往復の回数を少しずつ増やす
ゲームでも、電車でも、動画の話でも構いません。大人が興味を持てない話題ほど、実は効きます。「へえ、それで?」と一往復増やすだけでいい。コツは「あなたの話に興味があるよ」という口調、雰囲気をつくることです。会話は筋トレに近くて、量をこなした分だけ確実に伸びます。中身の質は、あとからついてきます。

家庭で抱え込まないでほしい場合

ここまでは、あくまでご家庭でできる範囲の工夫です。次のような様子が続いているときは、早めに外の力を借りてください。
○園や学校でのやりとりに、明らかな困りごとが続いている。
○友だちとのトラブルが繰り返し起きている。
○本人が人と話すこと自体をつらいと感じている様子がある。
○特定の場所でだけ、まったく話さなくなる。
相談先は、学校や園の担任、スクールカウンセラー、自治体の発達相談や子育て相談の窓口、必要に応じて医療機関などです。相談は、手に負えなくなってからするものではありません。判断に迷っている段階で行くのが、いちばん効きます。

最後に

会話が苦手に見える子でも、話せる相手と話せる話題は、必ずどこかにあります。私が教室で見てきたかぎり、例外はありませんでした。
だから「この子は会話が下手」と決めてしまうのは、まだ早い。どこでつまずいているのか。4つのうち、どれに近いのか。そこさえ見えれば、打つ手は必ずあります。
そして、その第一歩がたいてい「3秒待つ」だというのは、少し拍子抜けする話かもしれません。でも、試してみる価値は十分にあります。

参考
・Mary Budd Rowe「Wait Time: Slowing Down May Be A Way of Speeding Up!」(Journal of Teacher Education, 1986) https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/002248718603700110
・Kent State University, Center for Teaching and Learning「Wait Time: Making Space for Authentic Learning」
https://www.kent.edu/ctl/wait-time-making-space-authentic-learning

※本記事は一部生成AIを活用して記事のチェック・校正を行っています。最終的な内容確認およびファクトチェックは、実績のある専門家が実施しています。

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