失敗や恥ずかしい思いをいつまでも悩んでいて辛そうな子どもへ、どんなアドバイスができる?どんな接し方をしたらいい?そんな悩みについて、薬剤師として多くの患者さんと向き合ってきた経験もあるVenusmile代表の武田三千代さんにお話を伺いました。

子どもが忘れたい記憶を抱えたら
成長に伴い自分を取り巻く社会が広がっていく中で、子どもたちは多くの経験を積んでいます。そのような中で辛かったこと、くやしかったこと、悲しかったことなど、忘れたい記憶の一つや二つは出てくると思います。でも子どもの「人生の学び」において、その記憶を「忘れる」ことは必ずしも得策ではないかもしれません。
「忘れる」とはどういうことでしょうか?
「忘れる」には大まかに2種類あると考えられます。一つは、覚えておこうと思っていた事が頭の中で呼び起こせない、いわゆる「うっかり」というものと、もう一つは、「意図的に」気にせず思い出さないようにする、というものです。今回はこの「意図的に思い出さないようにする」に焦点を当ててご説明します。
意図的に思い出さないようにするとは、その嫌な出来事とその時の気持ちを「封印」することです。ではその封印した気持ちはどうなるかというと、私たちの「潜在意識」に保管されます。
私たちの意識というのは、自覚している意識「顕在意識」と自覚していない「潜在意識」に分けられ、その割合は顕在意識3~5%、潜在意識95~97%といわれ、潜在意識が圧倒的な割合を占めます。
目の前にある出来事や状況を判断して行動を決定するのは顕在意識ですが、その判断の基準となるのが過去の経験や感情・思考・行動です。この過去の経験が保存されているのが潜在意識なので、認識できる現実というのは潜在意識の影響を受けて作られることになります。忘れたと思った「嫌な気持ち」は、実は潜在意識に存在して、現実を作る意思決定に大きく影響していると考えられています。
ネガティブな思いから作られた感情は、自己肯定感を下げたり、目標達成の妨げになることがあります。「嫌な気持ち」を忘れようとするのではなく、それを外したり、ポジティブな記憶に書き換えることができれば、子どもの可能性をひろげることができるかもしれません。