【前編】分かりづらいと言われてショック!自分の話がうまく伝わらない・伝えられないと悩む子どもへのアドバイスについてお伺いしました。

自分の話がうまく伝わらない・伝えられないと悩む子どもにどんなアドバイスができる? そんな悩みに、一般社団法人インナークリエイティブセラピスト代表 佐藤城人さんに前後編に分けてお答えいただきました。今回は前編です。

分かりにくい話し方とは?

改善ポイントは2つだけでOKです。
分かりにくい話し方として、(1)と(2)の2点挙げてみました。

(1)主語や目的語の省略をしすぎる
例文を2つ比べてください。
・彼女がチラッと見たので、そのまま帰ったよ。
・彼女が時計をチラッと見たから、帰りの時間かなと思い、挨拶をして僕もそのまま帰ったよ。

最初の文は、誰と誰のことなのか明確ではありません。ただ、話し手の頭の中には、別れの場面が思い浮かんでいるのでしょう。そのため、主語や目的語を省略したとしても、自分の中では違和感がありません。しかし、聞く側は「はて?」となってしまいます。

核家族と少子化の現代社会では、主語を省いても概ね推測し理解し合えます。また、周囲の大人が、子どもの話すことを先回りし、補足しながら聞くこともあるでしょう。これらが省略を可能にする要因の1つと私は考えています。
さらに、日本語は英語と異なり、主語や目的語を省略できる言語です。しかし、省略し過ぎると、かえって伝わりにくくなってしまいます。

改善のためのポイントは「主語と目的語を明確に口にすること」です。「僕は・私は」と
主語をハッキリと口にすることにより自分の主体性も生まれ、自分の軸がしっかりと形成されます。そして、親は「先回りして、補いながら聞かないこと」です。
子どもと会話をしていて分からない場合、「誰のことなの?」「いつのことなの?」「どこで起きたの?」などのように、補足の説明を促す問い掛けをしてください。

(2)一文が長い
文章を書く際の目安は一文当たり40~60文字といわれます。話した内容を文章に書いてみてください。接続助詞の「が」「けど」などを多用すると長い文となります。

例文を2つ、お読みください。
・今日、家族で外出しましたが、あいにくの雨だったため、思いのほか準備に手間取ったけど、みんなで楽しい時間が持てました。
・今日、家族で外出しました。あいにくの雨だったため、思いのほか準備に手間取ってしまいました。しかし、みんなで楽しい時間が持てました。

いかがですか?後の文章の方が、スッキリと読めたのではないでしょうか。少なくとも解説や説明が求められる場面では、短い言葉の方が伝わりやすい表現となります。

後編へ続きます。

執筆者

佐藤城人(さとうしろと)
一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会 代表
心理カウンセラー・心理セラピスト・気功師範

経歴
過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出合う。
各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには摂食障害の悩みなど、これまで10年間で約5,000名様の悩みをサポート。
近年はヤングケアラーはインナーチャイルドの予備軍と位置づけ、お子さまや親御さまの支援にも力を入れている。
2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
カウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。

一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会
https://in-ct.org/

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