子どもが長期休みに入ると生活が乱れて困る。新学期に影響することもあるから、なんとかしたいけど、どんなことに取り組めばいい?そんな悩みについて、今回はなかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤佑介先生にお答えいただきました。

はじめに
⻑期休みは楽しい反⾯、就寝・起床時刻や⾷事、運動、スクリーン時間(スマホ・タブレット・TV)が不規則になりがちです。睡眠が不⾜・不規則になると、注意⼒や学習、気分、体重管理、将来の健康にまで影響が及ぶことが報告されています。まずは⽇常⽣活で今⽇からできることを軸にお話しします。[参考文献1,7]
⽣活リズムが乱れやすい理由
1)スケジュールの変化:
登園・登校や習い事がない⽇は寝る・起きる時刻が後ろへずれやすくなります。
2)夜のスクリーン時間:
夜の強い光(特に⻘⾊光)は眠気ホルモンのメラトニンを抑え、⼦どもは⼤⼈よりも影響を受けやすいとされます。[3,8,9]
3)運動不⾜:
外遊び・運動が減ると、夜の眠気(睡眠圧)が弱くなります。5〜17歳は1⽇合計60分以上の中〜⾼強度の⾝体活動が推奨です。[2]
4)⾷事時間の遅れ:
遅い⾷事・夜⾷は睡眠の質や体内時計(概⽇リズム)に悪影響を与えます。朝⾷の規則性は体内時計の同調因⼦でもあります。[5,10,11,12,13]
乱れたままだと何が起こる?
集中・⾏動・学習への影響、気分の不調、肥満リスクの上昇などが懸念されます。国内の公的情報でも、⼦どもの睡眠不⾜が⽣活習慣病リスクを⾼めると注意喚起されています。[ 1,6,7]
また、休⽇前後で睡眠時刻がずれる「ソーシャル・ジェットラグ」が⼤きい⼦ほど、過体重・肥満との関連が報告されています。[6,14]
今日からできる『朝の3本柱』
〇起床時刻を毎日ほぼ固定する
寝る時刻が少し遅れても、起床を揃えることで体内時計は朝でリセットされます。[4,15,16]〇起きたらすぐ『朝の光』を浴びる
カーテンを開ける・ベランダに出る・短時間の散歩など。朝の強い光は体内時計を前に進め、夜の寝つきを助けます。[4,15,16,17,18,19]
〇朝⾷を同じ時間に
規則的な朝⾷は体内時計の同調に関与し、睡眠の質にも関連します。たんぱく質(トリプトファン)+朝の光の組み合わせは、国内データで概⽇位相を整えやすいと⽰唆されています(例:⿂・卵・納⾖・乳製品など)。[5,10,11,12,13]
〇夜は“静けさ”をつくる——光とスクリーンの⼯夫
就寝60分前はスクリーンオフ、寝室に端末を持ち込まないのが基本。AAP(⽶⼩児科学会)やAASM(⽶国睡眠医学会)も同様の推奨を⽰しています。[3,4]
〇照明はやや暗め・暖⾊系に
⽩⾊・強光は体内時計を遅らせ、メラトニンを抑えるため、⼣⽅〜就寝前は落ち着いた照明にしましょう。[8,9,12]
お仕事で『ずっと⾒ていられない』⽇は、ざっくり時間割を掲⽰。下記のように、ざっくりとした時間割をつくってお子さんに実行してもらいましょう。
【例】
起床→朝の光→朝⾷→学習/お⼿伝い→外遊び(または室内運動)→昼⾷→⾃由時間(ルール内のスクリーン可)→⼣⾷→⼊浴→「画⾯オフ」→就寝
また、事前に家族の『メディア製品の使用ルール』を確認し、使う場所・時間・就寝前のルールを決めて印刷し、見えるところに貼りましょう。意識を持たせることに繋がります。[3]
踏み台昇降・ラジオ体操・ダンス動画などを合計60分を目標に、室内でも動くことをおこなうと、体調管理にも効果的です。[2]
もしも遅寝遅起きになってしまったら、起床時刻を15~30分ずつ前倒し→朝の光→日中活動→自然に早寝、のサイクルで『朝から』整えることを意識しましょう。[4,15,16]
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