近視予防には太陽の下で遊ぶことが大事って本当?対策についていわみ眼科理事長岩見先生にお伺いしました

アイコンイメージ

勉強のさせ方 ― 姿勢指導

外来でもよく「うちの子、勉強の姿勢が悪くて・・・」という声を聞きます。学歴と近視は関連があるとの報告もあります。(Edward Mountjoy, BMJ 2018)実際、机に向かう姿勢が悪いと目にかかる負担が大きくなり、近視が進みやすくなります。
まずは、正しい座り方を知ることが大切です。お尻をしっかり背もたれにつけて、椅子をしっかり引き、机に近づいて座る。このとき、お腹が後ろに引けるような「猫背」にならないよう、お尻=骨盤を背もたれに支えてもらうことがポイントです。
最初の座り方さえ意識すれば、自然と良い姿勢を保ちやすくなります。また、「お腹を前に出す意識を持つ」ために、お腹を机に当てるように設計されたぬいぐるみなども発売されています。逆に、椅子に浅く座ると猫背になりやすくなるため、子ども用のサイズに合った椅子を使ってあげてください。

デジタルデバイスとの付き合い方

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスは、近視を進行させる大きな要因のひとつです。(Ahnul Ha, JAMA Network Open 2025)しかし、現在では学校教育でもタブレットが導入されており、完全に避けることは難しくなっています。
大切なのは「どう使うか」です。たとえば、タブレットは手に持たず、スタンドに立てて目から距離をとるようにしましょう。動画配信や携帯ゲーム機を見るときは、なるべくテレビなどの大画面に映して見ることで、視距離を確保できます。これは親子で動画内容を共有する良い機会にもなります。
デジタル機器は依存しやすく、触り始めると止まらなくなってしまう傾向もあります。「デジタル・シティズンシップ」の考え方を紹介する総務省のサイトには、家庭でできる工夫が多数紹介されています。たとえば、「30分使ったら30分外で遊ぶ」といったルールをつくるのも良いでしょう。

正しい知識を持ち、おおらかな子育てを

ここまで、家庭でできる近視対策をいくつかご紹介してきましたが、すべてを完璧に実行することは現実的には難しいものです。また、何かに偏りすぎてもバランスを崩してしまいます。
たとえば、外遊びばかりで勉強をしなければ学力が心配になりますし、デジタルデバイスを完全に遠ざけると、友だちとのコミュニケーションに支障が出るかもしれません。大切なのは、「子どもの目にどんな負荷がかかっているか」を意識しながら、子育ての中にバランスよく取り入れていくことです。
どうしても屋外活動が難しい、勉強時間が長くなりがち、という場合は、第2回でご紹介したような治療ツールを併用することも選択肢になります。

近視治療2.0の時代において、子どもの目は近視になりやすいという前提を持ちつつ、無理なく、楽しく子どもたちの成長を見守る――。そんなおおらかな子育てが、目の健康にもつながっていくことを願っています。

この記事をSHAREする

この記事をSHAREする