子どもの近視が年々深刻化しているなか、近視治療についても日々新しい技術が模索・開発されています。今回は、「近視治療2.0時代の到来」をテーマに、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長の岩見久司先生から近視予防の対策についてお話しいただきました。

近視治療2.0時代に保護者が知っておくべきこと
子どもの近視が増えている背景には、私たちの生活環境の大きな変化があります。アジア人は遺伝的に近視になりやすい体質を持ちますが、それに加えて、近視は「生活習慣病」としての側面もあるのです。
近年、子どもたちの遊びや活動の多くは室内で行われ、外遊びの機会は減少しています。少子化の影響で教育への関心が高まり、机に向かう時間も増えています。さらに、デジタルデバイスの普及により、大人も子どもも画面を見る時間が長くなりがちです。
前回ご紹介したように、近視治療の選択肢は広がってきましたが、近視を進ませる生活習慣が改善されなければ、せっかくの治療効果も十分に発揮されません。今回は、家庭でできる近視予防の工夫についてまとめました。
屋外活動の重要性
屋外で過ごす時間が長い子どもほど、近視になりにくいことが、以前から指摘されています。(Rose KA, Ophthalmology 2008)太陽光そのものが、近視の進行を抑える効果を持つのではないかと考えられており、これは光線療法が近視治療に効果を示す根拠とも一致します。
また、屋外活動では遠くを見ることが多くなり、目のピントが近くに固定された状態(調節緊張)から解放されます。これらの知見を受けて、台湾では「天天120運動」という国策が始まり、2011年から学校や幼稚園で屋外活動を積極的に取り入れた結果、子どもの近視率が年々減少しています。(Pei-Chang Wu, Ophthalmology 2020)コロナ禍では一時的に近視の割合が増加したものの、再び減少傾向に戻ったとの報告もあります。
日本でも屋外活動の大切さを伝える啓発活動に加えて、政策提言を目指した勉強会なども開催されています。
なお、運動そのものが近視に関係するかどうかを調べた研究では、屋内での運動には有意な効果は確認されていませんでした。つまり、「太陽の下で遊ぶこと」が、近視予防にはとても大切だということになります。
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