点眼がいい?それともコンタクト?子どもの近視治療の内容についていわみ眼科理事長岩見先生にお伺いしました

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多焦点ソフトコンタクト

遠近両用タイプのソフトコンタクトレンズの中には、近視進行を抑える効果があるものがあります。(Chamberlain P, Optometry and visual Science 2019)現在、国内で販売されている一社のものは国内で一定の効果が確認された研究があります。(筆者も研究に参加しました)さらに、は臨床試験を終え、2025年7月に薬事承認が下りた商品もあります。
このタイプのソフトコンタクトは、度数の強い近視にも対応できる点が大きな強みです。一方で、日中に装用するため、自分でつけ外しができることが使用の前提となります。

特殊眼鏡

眼鏡のレンズにも、近視進行を抑えるように設計された特殊なタイプがあります。(Lam CSY British Journal of Ophthalmology 2020)ソフトコンタクトと同様に、近くを見る部分に工夫が施されており、海外では10年近くにわたり実績のある製品もあります。

どの年齢でも使えるという利点がある一方で、かなり正確なフィッティングが必要であり、眼鏡フレームも簡単に歪んだりしない質の高いものを選ぶ必要があります。また、子どもによっては眼鏡を嫌がることがあるため、「眼鏡をかけてくれない」ことが課題になる場合もあります。

光線療法 レッドライトセラピー

レッドライトセラピーは、中国で開発された機器を用いた新しい治療法です。(Jiang Y, Ophthalmology 2022)赤い光を発するLED機器を、朝と晩にそれぞれ3分間覗き込むことで、近視の進行が抑えられるというものです。高い効果が示されている一方で、装置自体が非常に高額であること、視力自体は改善されないため眼鏡やコンタクトが別途必要であること、動物実験を含む安全性のデータがまだ不十分であることなど、課題も多く、今後の研究が期待される治療です。

では、どれをどう使えばよいのでしょうか?

まず、幼稚園くらいの低年齢のお子さまには、コンタクトレンズの管理が難しいため、点眼治療や特殊眼鏡が適しているといえます。オルソケラトロジーは小学校低学年からの実績もあり、比較的早い段階から導入されています。多焦点ソフトコンタクトレンズは、自分でのつけ外しができるようになる小学校高学年から中学生あたりが適齢でしょう。

また、近視が強すぎる場合はオルソケラトロジーでは対応できないことがあり、その際にはほかのツールを選ぶ必要があります。いずれの治療も高額ですが、確かな効果があります。
とくに、すでに近視が強い方や、低年齢(幼稚園〜小学校低学年)から近視が始まった方、ご両親の近視が強い場合、あるいはご両親が緑内障や網膜剥離など近視に関連した病気にかかったことがある場合には、ぜひ治療を前向きにご検討ください。

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