うちの子は、他の子に比べてケガをしやすいかも・・・何か気にかけた方がいいこと、ある?
そんなお話について、今回は公認心理師であり、芸術療法士の資格も持つ心理カウンセラー、芙和せらさんにお伺いしました。
ケガが多い子、その原因は?
お子さんによって、ケガの多いお子さんと少ないお子さんがいます。
ケガが多いお子さんの親としては「我が子に痛い思いをさせたくない」という愛情や「大ケガになったらどうしよう」という不安から、いったいどうしたらいいのだろうとお悩みの方がいらっしゃいます。
ただ、危ないことをしないように、しっかり注意したとしても、改善はしにくいです。ケガをしやすい理由を考えて対策をたてましょう。
まず、ケガが多いお子さんはどうして、ケガが多いのか理由を考えてみましょう。
1)活発で向こう見ずなタイプ
飛び跳ねたり、急に走り出したり、落ち着きがないお子さんは、いろんなものにぶつかったり、捻挫をしたり、とケガが多くなります。
特に幼児期は高さの感覚が育っていないため、無理な高さから飛び降りてしまうなどの事故が起きやすいです。
小中学生になり遠近感や高低感の感覚が育ってくると、無謀な行動は少なくなります。
いわゆる活発すぎることがケガにつながるタイプです。
2)うっかり不注意タイプ
ハサミを使っているときに手元に注意を向けられてない、音や風景など周りのことに気が散ってしまい足元を見ていないなど、うっかり不注意でケガをしやすいお子さんがいます。
ゲームをしながら階段を下りるなんてことをすると、足を滑らせてケガをしても不思議ではありません。
器用にいくつものことを処理できるお子さんもいますが、「不注意」傾向のお子さんは同時に何かをやることが苦手な傾向があります。
3)バランス感覚に問題があるタイプ
走ったり、跳び箱を飛んだり、鉄棒で逆上がりをしたり、という運動は筋力だけではなく、手、足、背筋、腹筋などをタイミングよくバランスよく使う必要があります。
それがうまくできないお子さんは椅子から転げ落ちる、障害物がないところで転んでけがをすることが多いです。
4)ケガによって注目されたいタイプ
本当は周りの人に注目されたいけれど、なかなか上手に注目を集められないと感じた時、ケガという代償を払ってでも周りの注目を集めたいという心理が育つことがあります。
例えば、親が忙しくてかまってあげられない、他に手がかかるお子さんがいてどうしても親がそちらのお世話にかかりきりになるなど、痛い思いをしてでも親に注目してもらう手段としてケガを繰り返す場合があります。本人は無意識でわざとケガをしているつもりもない場合も多いです。
ではどんな声かけをすればよいでしょうか?
例えば「川が危険」と伝えたいときは、川は楽しい場所だけれど、危険な面もあることを伝えます。
しかし、危険性を教えることは重要ですが、「溺れたら死ぬこともあるからダメ」というような、お子さんに恐怖心を植えつけるようなやり方は避けましょう。
どういう面が危険か、どうすれば危険を避けられるか、危ないと思ったらどうするかなど、しっかり話し合い、お子さんに理解してもらうことから始めていきましょう。
また、タイプ別の対策を記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
タイプ別のケガ対策
A)活発で向こう見ずなタイプ
落ち着きがなく活発なお子さんには、適度な運動でエネルギーを発散してもらうことが大事です。
「あれはダメ」「これはダメ」と規制をするのではなく、安全な環境の中でスポーツに取り組ませるのがよいでしょう。
学校の部活動にこだわらず、地域のスポーツチームに所属するなどお子さんにあった方法をさがしてみましょう。
「しっかり見守りのある場」がポイントです。
B)うっかり不注意タイプ
複数のことを同時にこなすことが苦手なタイプですから、「あれしろ」「これしろ」と矢継ぎ早の指示はよくありません。
じっくりひとつのことに向き合える環境をつくってあげましょう。「~ながら」はしないとルールで決めるのも有効です。
また、うっかり不注意タイプはモノの収納が苦手なお子さんも多く、ハサミやカッターなどを出しっぱなしにして、それがケガにつながることがあります。
片付けの習慣化を意識しましょう。
「ひとつずつ」がポイントです。
C)バランス感覚に問題があるタイプ
バランス感覚に問題がある場合は、お子さん自身もそこにコンプレックスを抱えているケースが多いです。
コンプレックスを助長することなく、お子さんのペースを大切にしてあげましょう。
「しっかりして」「緊張感をもってやりなさい」など、緊張を高める言葉がけはかえってマイナスになります。
スポーツが好きなお子さんであれば、不器用なりに練習に励むことでバランス感覚は磨かれてきます。
スポーツをやりたがらないお子さんであれば、無理をさせることはありません。
他のお子さんと比べるのではなく「その子のペースにあわせる」がポイントになります。
D)ケガによって注目されたいタイプ
ケガをしたときだけお子さんにかまうのではなく、普段からお子さんに「大切に思っている」ということを表現し続けることで、ケガは減っていきます。
言葉だけではなく、ぎゅっと抱きしめてあげる、学校であったことをじっくり聞いてあげるなど、忙しい日々の中でもしっかり見ていることが伝わるようにしてみるとよいでしょう。
いかがでしたか?
お子さんにはケガなく、健やかに成長してもらいたいものです。お子さんのタイプにあわせて、対策をしてみましょう。
執筆者
芙和せら
一般社団法人 芙和せら心理研究所 所長
公認心理師、芸術療法士、子ども花育インストラクター
経歴
現在、生花による子どもたちの心育てに力を注いでいます。
優しさ、粘り強さ、コミュニケーション能力などは、12歳までに土台ができあがります。幸せの脳を育てて、どんな時代変化にも適応できる力を育ててあげるのが保護者様の役割です。
キッズベリー花育ラボHP
https://hanaiku-labo.com/