HSPの子どもを持つ親として何ができる?子どもの特徴を理解してメリットを活かせる工夫を日常生活に取り入れましょう

子どもがHSPかもしれない!?そんなとき、どうすればいい?HSPってどんな状態?
そんな疑問に、メディアでもご活躍中の臨床心理士である大阪カウンセリングセンターBellflower代表の町田奈穂さんにお伺いしました。

HSPの子どもの特徴


HSPとは、Highly Sensitive Personの頭文字をとった言葉で、子どもの場合はHighly Sensitive Child、略してHSCとも呼ばれます。繊細さん、とも呼ばれますが、物事の行き詰まりや、頭が真っ白になり言葉が出てこない、不安や心配が多くさらに大きくなりやすい、といった特徴があります。最近ではさまざまな書籍も出ており、広く知られた言葉になっていますが、実は正式な診断がつくような医学用語ではないのです。そのため、病気や障害という認識は一度置いておいてください。HSPの人は実は活かしたいメリットをたくさん持っているのです。

HSPの活かしたいメリット

HSPの活かしたいメリットとは、ずばり、「深く感じ、じっくり考えることが得意」という点です。HSPは、外からの刺激や自分の感覚を鋭くキャッチします。そして、それらを情報としてより深く処理し、自然と感情や生理的反応性が高くなっているのです。「不安だけど、初めてのお料理やってみたい」「不安だけど、海外旅行に行きたい」。このように相反する気持ちをお子さんから言われた経験はありませんか。その反応性の高さから、神経症や不安症といったデメリットとの関連ばかりに注目されがちなHSPは、実は好奇心の高さにも繋がっているのです。

親としてできること

HSPの子どもを持つ親としてできることとして、上記のようなHSPのメリットを活かせるような工夫を日常生活に取り入れることはいかがでしょうか。
例えば、感覚の鋭さを活かして、絵画や写真、音楽といった芸術に触れる機会を増やし、日常の中に感動や感覚的な心地よさを感じる場面をたくさん用意しておく。あわせて、じっくりと言葉として表現する落ち着いた時間を設けると良いでしょう。
他にも、HSPの人は、ネガティブな感情に注目をしやすい特性があります。ネガティブな感情を否定せずに言葉にすることを促し、受け止める。次に、ポジティブな考え方やポジティブな面を考えられるように言葉にする。偉人や有名人の名言や格言などの言葉のカレンダーを目につきやすいところに置いておくのもよいかもしれません。
認知行動療法を学ぶことで、ストレスをしなやかに乗り越える力を身につけること。マインドフルネスを取り入れて、ネガティブな感情を抑えポジティブな感情を増やしてあげることもおすすめです。

集団行動を行いやすくするために

HSPの人は、集団行動が苦手といわれています。人が多いと音や光や匂いといった感覚的な刺激が必然的に多くなります。感覚の鋭さ故にそれら多くの刺激を受けやすいです。さらに、1つ1つの刺激を深く処理してしまうことから、集団の場面では疲労しやすくなります。
集団行動を行いやすくするためには、まずは受け取る刺激を抑えることが大切です。
度の入っていないメガネで目から入る刺激を抑える。耳栓やイヤーマフなどで耳から入る刺激を抑える。最近はノイズキャンセリング機能のついたワイヤレスイヤホンで、外の音を拾いながらも刺激を抑える方法もあります。刺激の強さや鈍さはひとりひとり異なります。色々なグッズを試しながら、本人が少しでも楽な方法を探していきましょう。

そして、次に大切なのは避難場所を準備しておくことです。例えば出先であれば、車内や非常階段など、人目につきにくい場所を事前に一緒に目星をつけておくと良いでしょう。混乱はHSPさんが深い情報処理をしているサインです。混乱、しんどさ、辛さを感じたら一度その場を離れ、静かな場所へ逃げ込む。静かな環境で情報処理が出来ると、落ち着きを取り戻し、再び戻ることも出来るでしょう。

執筆者

町田奈穂
臨床心理士・公認心理師

経歴
同志社大学大学院 心理学研究科修了。
在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。
修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。
2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。
そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflower(大阪府寝屋川市) を設立。
現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として大阪カウンセリングセンターBellflowerを新規事業とし、支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。

大阪カウンセリングセンターBellflower
https://counseling-bellflower.com/

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