義母からの手紙[10完]義母の記憶から「私」が消えていなかった

義母にもらった手紙の返事を書いて、施設を訪れたカスミさんは、手紙を読みながら、「もう私のこと分からないかな・・。私もちゃんと言いたかった・・お義母さんから『私』が消えてしまう前に」と涙を流しました。
そして、「本当は、お義母さんが私のこと分からなくなる前に、手紙を渡したかったけど・・」そう呟いた後で、「・・お義母さん、聞いてくれてありがとう。手紙ここに置いていくね」と声をかけました。

そして、「じゃあ・・また来ますから」と言い、部屋を出ようとした時に、
「本当に・・・」と声が聞こえました。

カスミさんが慌てて振り返ると、
「綺麗で、しっかりした人が嫁にきてくれて、『本当にうちのシンゴでよかったのかしら』・・・」と言う義母。

カスミさんは慌てて駆け寄り、「シンゴさんだからよかったんですよ・・!」と義母に話しかけると、「私もこんなになっちゃって、カスミさんには迷惑ばかりかけてしまって・・」そう言う義母に、「そんなこと言わないで!お義母さんがいつだって・・・私たちのことを考えてくれてたの、ちゃんと分かってます!」カスミさんがそう言うも、「・・・」義母は黙ったまま。

すると、「・・・ちょうど、あんたみたいな目がぱっちりした・・うふふ、あのねぇ・・」と静かに話し出しました。

そして、「うちのお嫁さん、とってもいい子なのよ!」と笑顔で言う義母を見て、「・・・っ、お義母さん・・・」そう言いながらボロボロと涙を流すカスミさんは、「私も・・」

「シンゴさんと結婚して、お義母さんと家族になれて、本当によかった。いつも見守ってくれて、いつだって私たちを大事に思ってくれて・・お義母さん、ありがとう・・・」
義母からカスミさんに送られた手紙、そしてカスミさんが書いた義母への手紙が、静かに2人の気持ちを通わせてくれたように感じたのでした。
※ストーリーはフィクションです。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:マキノ
元気姉弟を子育て中の主婦。
SNSで育児絵日記を描いています。