どうして学校に行きたくないの?子どもの声に耳を傾けて原因を聞いてみよう!解決策への導き方についてお伺いしました。

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原因は分からないことも多い

気持ちを十分に聴いた後は、子どもと対策を練る番です。
令和2年、文科省が不登校に関する調査を実施しました。そのデータを見ると、「不登校のきっかけは自分でもよくわからない」の率が20%を超えています。小学生・中学生ともにです。
(出典:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要)

ここで質問です。
あなたの子どもが「学校に行きたくない」と言っています。この場面、次のどちらの方が、答えやすいでしょう?(小学校低学年と想定してください)

[A]なぜ、行きたくないのかな?
[B]どんなときに、行きたくなくなるのかな?これまでもあったかな?

答えは、[B]です。
[A]のように「行きたくない理由は?」「なぜ?」と問われると、「その理由(原因)を持つ自分に非があるのだ」となるからです。また、文科省の調査にもあるように、「よく分からない」というお子さんも多いです。原因を聞きだすことが、かえって苦しめてしまうと、子どもの口がますます重たくなってしまいます。
[B]のように、具体的な場面・状況であれば、思い出しやすく、答える側も心的ハードルがグっと下がります。そして、その答えた場面の中に、解決へのヒントを見つけることができます。

では、もし「今回が初めてなんだ」と答えた場合は、どのように対処すればいいでしょう?
「初めてなんだね。よく気づけたね」「よく教えてくれたね」などのように、声をかけてあげてください。ギュっとハグするのも効果があります。子どもも「こんなこと、言ってもいいかな?」「怒られないかな?」のように、不安な気持ちでいっぱいな状態です。不安な思いを払拭してあげてくださいね。

解決策は「いま」「ここ」でする休息

再度、文科省のデータを見ると、「どのようなことがあれば休まなかったのか?」の回答の50%は「特になし」です。この数字からシンプルに「休息」が必要だった、とも考えることはできそうです。「心身の休みが必要。そのためのSOSを発信した状態」これが「学校に行きたくない」です。
では、ただ布団の中で休んでいればOKなのでしょうか?

朝起きて「なんとなくダルイ。あと30分。ジッとしていよう。そうすれば元気になれる」と思ったことのある人はいませんか。しかし実際に、30分後、シャキっと目覚めた経験のある人はほとんどいないと思います。この理由は「体の疲労」と「脳の疲労」の違いです。
体の特定の部位が痛む場合は、体の疲労です。その部位を休ませる必要があります。
これに対して、部位が特定できない場合は、脳の疲労です。だから、なんとなく疲れたと感じます。
※もちろん、体と脳が同時に疲れる場合もあります。

では脳は、どのようなときに疲れるのでしょう?答えは「いま」「ここ」に意識が居ないときです。
「いま」とは、過去や未来ではなく、現在のことです。意識が過去や未来に行ってしまうと、脳が疲れます。例えば、
・昨日、どうして友人にあんなことを言ったんだろう(過去にこだわっている状態)
・明日の発表会、ミスしたらどうしよう・・・(未来にこだわる状態)

「ここ」とは、自分の居場所に自分の意識がしっかりと向いていることです。自分の居場所を見失うと、脳が疲れます。

学校を休んだとしても、「今ごろ、みんなは何をしているのだろう?」と学校や友だちのことばかり考えていたのでは、脳は休むことができません。意識が「ここ」にないからです。その状態が続いた結果、脳は疲労困憊します。ということは「いま・ここ」に意識を向けることです。

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