子供にキャラ付けはいらない。親が作り上げたキャラに合わせようと無理していた私が母になって思うこと。

突然ですが、私は長女として生まれ、2歳下に妹がいます。
子どもの頃から割と仲が良く、お互いが親になった今でも友人のような感じで、関係はかなり良いです。
両親は姉妹を差別することなく、割と平等にお金やコスト、愛情をかけて育ててくれ、「毒親」と言われるような両親ではありませんでした。
自分が親になった現在、とても感謝しています。
でも、今でも小さなトゲのように、心に引っ掛かっている部分はあるのです。



姉は元気なしっかり者、妹は可愛く泣き虫というキャラ付け

自分で言うのもなんですが。
子どもの頃、私は優等生タイプというか、委員長タイプでした。
小学校時代の漫画などにも出てくる、
「ちょっと男子―! ちゃんと掃除しなさいよー!!」
とかいうタイプ(今自分で思い出すとめっちゃうざくて恥ずかしい……)。
当時は成績もよかったので先生に褒められることも多く、学級委員や班長、部長、委員長など『長』のつく役割を率先してやっていた気がします。
そして、家でも役割は同じ。
私は「しっかり者」で「頼れる姉」でした。
運動も勉強もそれなりに得意なしっかり者で、妹の面倒もよく見る姉。
対して妹は「甘えっこ」で「頼りない」タイプ。
勉強も運動もどちらかというと苦手で、泣き虫で、姉や両親にべったりの妹。
我が家では、かなり姉妹二人のキャラ付けというか、立ち位置が明確になっていました。

なかなか褒められなかった私と褒められまくった妹


そんな2人の共通点は「絵が好き」だったこと。
母方の曽祖父が画家・彫刻家で、他の親戚にも工芸家などが多い家系で育った母。
母自身も美術系を得意としており、彼女もよく絵を描いていました。
そのため、小さいころから絵を描くことは身近なことで、私も妹もよく絵を描いていたのですが。
私には、母から手放しで褒められた記憶はありません。
「ここはこうする方が良い」
「少し色が変じゃない?」
何を描いていても、母にいろいろ言われながら、それでも絵を描くこと自体は楽しく、大好きでした。
反対に、妹は何を描いても
「すごい、上手ね〜」
と褒められることが多く、私は「妹ちゃんは絵が上手なんだな」と思っていました。
2つ下の妹の絵は、私には拙く見え、何が上手なのかはよくわかりませんでしたが。
絵の上手な母だけにはわかる、特別な何かが妹にはあるのだろうと思い、いつも褒められる妹がとても羨ましかったです。
幸い、出せば必ず、というほどではなかったのですが、私も妹も、小学校時代に絵で賞状をいただいたことがあります。
小学生にとって、朝礼で表彰されるというのは一大イベント。
名前を呼ばれ、朝礼台に上がり、校長先生から賞状をいただく。
もちろん緊張もしますが、当時小学校低学年だった私は、誇らしさでいっぱいでした。
『お母さんもきっとほめてくれる!』
喜び勇んで家に帰り、母に報告すると。
「何の絵でもらったの? (私の説明をきいて)あぁ、あれね。」
という、『ほめてもらえる!』と思い込んでいた当時の自分の予想とは、全く違う反応の母。
「悪くはなかったけど、この間の妹ちゃんの絵の方が良かったと思うよ。お母さんは、妹ちゃんの絵の方が好きだなー」
この後、私がどう返事をしたのか。
小学生の頃のことなので、はっきりとは覚えていませんが。
母に言われた言葉だけは、今でも覚えています。
当時「親の言うことをよく聞くしっかり者キャラ」だった私は、母に抗議をすることもなく、そのままにしてしまいました。

それ、必要?特技にまでキャラ付け

実は、どうしても気になって、大人になってからその日のことを母に聞いてみたのです。
どうして、賞状をもらってきたときにあんなことを言ったのか。
どうして、一緒に喜んでくれなかったのか。
どうして、私の絵は褒めてもらえなかったのか。
すると母は
「そんなこと言った? よく覚えてない。」
と答えましたが、ちょっと考えながら
「でも、当時のあなたは勉強とか運動とか、褒めるところが他にもいっぱいあったけど、妹は絵ぐらいしか褒めるところがなかった。だから、妹には『絵だけは誰にも負けない』という自信を付けさせたかったのかも」
と答えました。
確かに、気弱で体も小さかった妹は、小学校でいじめにあったこともあり。
母としては何か一つでもいいから妹に自信を付けさせ、少しでも前向きになるように必死だったのかもしれません。
手がかかって育てにくい妹を育てるのに、当時の母も必死だったのかもしれないと、今なら少しわかる気もします。
でも。
でもね。
それは、姉である私を下げることで実現させなくても、良かったんじゃないかな。
『私の娘は、2人ともスゴイ!』
って言ってくれれば、当時の私はきっと、いくらでもがんばれたのに。
成長するにつれ、私は描いた絵を母から隠すようになり、やがては描くのをやめました。
もちろん、プロになるような腕前ではなかったし、やめるのも自然なことと言えば、それまでなのですが。
あの日以来、私は素直に「絵を描くのが大好き」とは言えなくなりました。



キャラは関係ない。子供を、思いっきり褒めたい


現在。
私の娘は、絵を描くことが大好き。
祖母としての私の母は、娘の絵をべた褒めして可愛がり、娘自身も絵の上手なばぁばが大好き。
我が家には息子と娘がいます。
娘が絵で表彰されることはあっても、息子(絵は別に好きではない)が絵で何か賞を取るようなことはありませんが。
今の母は息子の絵も平等に褒めてくれるので、私から彼女に何かを言うつもりはありません。
もちろん、私は2人の子供たちの絵が、どちらも大好き。
キャラ的には絵が得意な娘も、そうでもない息子も、そんなことはどっちでも構わないのです。
割と色使いや構成まで、子どもなりに考えて描いていることがうかがえる娘の絵も。
最早完成させることだけが目的となっていて、何を描きたいのかよくわからないけど勢いだけはある息子の絵も。
心の底からどっちも大好きで、どっちも全力でほめています。
もしかしたら。
今の私は、自分の子供たちをそれぞれ思いっきり褒めることで、母への遺恨を昇華させているのかもしれません。

当時の気持ちを忘れさせてくれた、娘の言葉

そして、私にとって、とても嬉しかったことが一つ。
「ママ、絵が上手!」
娘は、小さいころから何かと私の絵を褒めてくれるのです。
描いているのはアンパンマンやプリキュア、最近は鬼滅のキャラなど、既存のものをまねる絵ばかりで、それなりに似ている程度、全くもって、大したことはないのですが。
屈託のない笑顔で褒めてくれる娘の顔を見ていると、久しぶりに
『あぁ、私って絵が好きだったんだな。絵を描くって楽しいな』
という気持ちを思い出すことができました。
あの時の私に教えてあげたいなぁ。
あなたは将来、最愛の娘から絵を褒めてもらえるんだよ。
ずっと、絵を好きでいていいんだよ、って。

〇〇な子だから、と決めつけないで欲しかった当時の気持ち


最初にもちょっと書きましたが、絵の上手さ以外にも、私たち姉妹にはある程度のキャラ付けがされていました。
・私→しっかりしてる・活発・男勝り・気が強い
・妹→おとなしい・ちょっとどんくさい・可愛らしい
概ねこんな感じ。
なので、同じアイテムも色違いをいただいたときなどは、自然と女の子らしい色(ピンクなど)は妹へ、男の子っぽい色(青など)は私のところへ。
写真を撮る時も、私は元気さやひょうきんさを、妹は可愛らしさや頼りなさを求められることが多かった気がします。
私はこれが結構苦痛でした。
珍しくオシャレなよそ行きを着せてもらっても、写真を撮る時には
「ほら、もっといつものように元気に」
みたいな感じで母からポーズを要求されます。
本人的には、せっかくオシャレしてるし、たまにはおしとやかな女の子らしい感じに撮って欲しかったりするのですが・・・・・・。
でも、子供って、母の期待に応えようと、「ちょっとひょうきんで元気な姉」を演じてしまうのです。
この話は誰にもしたことがないので、母は私のことを当時のキャラ通りの子供だったと思っているでしょう。
「あなたは小さい頃から明るくて面白い子で・・・・・・」
と、実際に昔の写真を見ながら母に言われたことがあります。
(好きでやってたわけじゃないんだけどね・・・・・・)
きっと、母には一生わからないんだろうな~と思いました。



羨ましく感じるキャラ付けをされていた妹が、当時思っていたこと

また、大人になってから妹と話していると、彼女は
「ピンク好きじゃなかった、青が良かった」
「どんくさいって笑われるの大嫌いだった」
とのこと。
実は、ちょくちょく可愛らしい失敗をしては、家族の笑いの中心にいた妹を羨ましく思っていたこともある私。
本人的にはそれが嫌だったなんて、ちょっと意外でした。
ということは、どんなキャラであっても、周囲が子供に勝手にキャラ付けするのはあまり良くないのかもしれませんね。
私は、高校に入ったあたりで優等生キャラは崩壊、現在はずぼら人間となりました。
反対に妹は逆境にもめげない、たくましいタイプに成長し、お互い幼い頃のイメージとはだいぶ違った大人になっています。
最近は芸人さんの間でも「いじられキャラ」「ブサイクキャラ」「いじりキャラ」などが割と問題になっていますよね。
確かに、大人になってみると、キャラクター付けされていることで楽な面もあります。
しかし、子供が本当にそのキャラ付けを望んでいるか、無理して演じていないか。
この子はこういうキャラだから、この程度のトラブルは平気だろうと、勝手に思い込んでいないか。
親は、しっかりと確認する必要があるのかもしれません。



まとめ:キャラ付けせずに、子供のいろんな面を見つけていきたい

改めていうまでもなく、子育ては大変です。
振り返ってみると、
「もっとこうしてあげればよかった」
後悔することもたくさんあります。
子供たちにも、
「もっとこうして欲しかった」
私に文句を言いたいことがたくさんあるでしょう。
でも、なるべく子供達のことをしっかり見て、会話して。
色々な面を持つ子供たちに、全力でぶつかっていく日々を、これからも大切に過ごしたい。
体力的にきつい日も、精神的に辛い日もありますが。
キャラとして決めつけてしまうなんて、もったいない!
子供達のどんどん生まれる新しい一面を、どんどん発見していけたらいいなと思います。

チャリダー主婦
中学2年生の息子と小学6年生の娘のワーママ

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