機嫌を取ろうと必死な彼

これまでなら、義博さんの言うことを信じて、喜んで顛末書でも始末書でも書いたでしょう。だけど奥さんとの会話を盗み聞きした限り、2人は夫婦仲が冷めきった家庭内別居状態にはとても見えませんでした。それに、「ただ相談していただけ」と言っていたけれど、小池さんとは本当に何もなかったのでしょうか。このまま義博さんのことを信じていいのか、分からなくなってしまいました。
翌日、いつものように出社した私。結局、昨日はいろいろと考えすぎてなかなか眠れませんでした。義博さんのこともそうだし、小池さんのことも・・・。すると部下から、「小池さんから今日は休むって連絡ありました」と聞かされました。

デスクに座ると、今度は義博さんから「早川課長、ちょっといいかな」と声をかけられます。どうせ昨日の弁解に違いありません。私は義博さんの顔を見ることなく、「すみません、午前中に仕上げなきゃいけない資料を部長から頼まれておりますので」と断りました。

すると今度は、義博さんからメッセージが届きました。『この埋め合わせは必ずするからさ、だから顛末書の件も頼む』無視していると、今度は『里穂、一番愛してるのはお前だから』というメッセージが。それも無視していると、『頼むよ、ユナとの件を何とかしないと俺の評価にも・・・今後2人で暮らすためにも、な?』と本音が透けたメッセージが届きました。『ユナ』ね・・・。頭隠して尻隠さずとは、まさにこのことね。

私からの返信がないことに焦り始めたのか、今度は資料の確認を頼むふりをして近づいてきました。義博さんが見せてきた資料に目をやると、付箋に『今日会える?』と書かれていました。

私は付箋を勢いよく剥がして握りつぶすと、「・・・この案件が終わったら、確認しますね」と笑顔で言いました。そう、私には確認しなければならないことがある。急いでスマホを取り出すと、ある人に連絡を取りました。
「部下として相談に乗っていただけ」と言っていた義博さんでしたが、ただの部下を『ユナ』なんて名前で呼ぶでしょうか?焦りすぎて墓穴を掘ってしまいましたね。仕事のできる里穂さんが、こんなミスを見逃すはずがないのに。
※ストーリーはフィクションです。登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:船井秋 編集:石野スズ
作画:ねむりひつじ
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この勢いで別れましょう