「スズカが1番大切だから」その言葉だけで舞い上がってしまう

タカシと付き合い始めたのは社会人になってから。思い返せば、付き合っていた頃から彼は変わりませんでした。大学時代からの友達と男女混合で旅行に行くと言い出したタカシ。私が「ちょっと嫌だな」と正直な気持ちを口にすると、露骨に面倒くさそうな顔をして「束縛とかしんどい、だったら別れよ?」と突き放してきました。あまりにも唐突な別れ方に納得がいかなかった私は、その後メッセージを送りましたが、友達との旅行を楽しんでいるのか既読にすらなりませんでした。
このまま別れるなんて嫌。せめてちゃんと話がしたい。タカシからの連絡を待っている間、私はスマホを片時も手放せませんでした。そして翌日、旅行から帰ってきたのか、タカシから「今から行く」と連絡がありました。私は胸の前でスマホを握りしめ「よかった!」と安堵します。

タカシは部屋に入ると「今回は離れてみてスズカの大切さがわかった」と言い、旅行先で買ったお土産を渡してくれました。旅行中も私のことをちゃんと考えてくれたことが嬉しくて、私は涙目で「うん、ありがとう」と受け取ります。けれどその直後、タカシは「でも俺は友達も大切にしたいし、束縛されるのは嫌だから」と話し始めました。

「俺の交友関係に関しては口出ししないでほしい、それが付き合う条件」そう告げるタカシに私は戸惑いながら「でも、あまり頻繁だと心配になるよ」と本音を伝えました。するとタカシは小さくため息をつき、「スズカは彼女だし、1番大切だから、ね」と諭すように言いました。

『スズカが1番大切』そう言われたのが嬉しくて、ひどい扱いをされたのが嘘のように、私はもっとタカシが好きになりました。今考えれば、この時点で素直に別れるべきだったのでしょう。けれど当時の私にはタカシがすべてでした。

それからしばらくは、喧嘩もなく穏やかな日々が続いていました。そして、今日はタカシとずっと楽しみにしていたカフェデートの日。「もうすぐ予約してた時間だから向かおう」そう言いながら歩いていると、タカシのスマホが鳴ります。タカシは迷いなく電話に出ると、「あっアツヤ?マジで?今から行くわ」と即答。その瞬間、嫌な予感が胸をよぎりました。
一度は「別れる」と言ったくせに、すぐに連絡してきて「離れてみて大切さが分かった」と言うタカシさん。スズカさんの気持ちをいったい何だと思っているのでしょうか。それだけではなく、「交友関係には口出ししないでほしい」と付き合う条件まで突きつけるなんて、あまりに一方的です。ですがスズカさんも、復縁できたことに舞い上がり、「1番大切」なんて言葉に惑わされて・・・先が思いやられますね。
※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:ポジョ
在宅デザイナーの主婦です。息子と夫、そして猫と暮らしています。
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一番大切だったら「今から行くわ」にはならないのよ
この男のヒトの何がいいんだろ?
何か言えば別れを盾に何でも通そうとするとか真面目に関係性築けないだけなのに