子どものワキが気になる・・・もしかしてワキガ?そんなときは、どのお医者さんに相談すればいいの?家でできる対処方法はある?そんな悩みについて、小児外科専門医のことびあクリニック恵比寿院澁谷聡一先生にお伺いしました。

お子さんが自分の体臭を気にし始めたり、洗濯物の黄ばみから「もしかしてワキガかも?」と不安を感じることは、思春期を迎えるお子さんの親御さんにとってデリケートな問題だと思います。思春期は見た目に敏感になる時期であり、子どもたちが悩みを打ち明けられずに孤立してしまうことも少なくありません。
しかし、ご安心ください。ワキガは「病気」ではなく「体質」です。不潔にしているから起きるものではなく、適切な知識とケアで対応が可能です。
「子どももワキガになるの?」「どうやってケアしてあげればいいの?」といった疑問をお持ちの方に向けて、小児外科医の視点から分かりやすく解説します。
1.そもそもワキガって何?子どもでもワキガになるの?
ワキガ(医学的には腋臭症:えきしゅうしょう)は、腋の下から特有の強い臭いが発生する体質のことです。
ワキガは多くの場合、10歳〜12歳ごろの思春期(第二次性徴期)で、臭いの原因となるアポクリン汗腺(アポクリンかんせん)と呼ばれる汗腺が、思春期に活発になるホルモンの影響を受けて発達し、分泌を活発にするために発症します。
子どものワキガは思春期の自然な体の変化によって起こるものであり、決して特別なことではありません。
ワキガの臭いのメカニズム
汗を出す汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
エクリン腺が全身に分布し、ほとんどが水分のサラサラとした汗を出す一方、アポクリン腺は腋の下や会陰部など限られた有毛部に存在し、脂質やたんぱく質などの成分を含む汗を出します。
アポクリン腺から出る汗自体は無臭ですが、これが皮膚の表面にいる細菌によって分解されることで、特有の臭い(腋臭)が発生します。

提供:ことびあクリニック恵比寿院
遺伝的要因
アポクリン腺の数や汗の成分は個人差があり、数が多いもしくは特定の脂質の成分が多いとワキガ体質となり親子間で遺伝しやすいといわれています。最近は特定の遺伝子(ABCC11)の発現が腋臭に関与していることが明らかになっておりますが、日本人を含むアジア人には発現が少ないことが知られています。また、腋汗と耳垢の成分の関連性も知られており、ワキガ体質の方は耳垢がネバネバしていることが多いです。
2.子どもをどうフォローする?日常生活でできる対策
お子さんが「臭い」でいじめにあったり、自信を失ったりしないよう、家庭内でのコミュニケーションは不可欠です。また、ワキガは遺伝的な体質が原因ですが、日常のケアで臭いを軽減することができます。
STEP1:心のケアとコミュニケーション
まず、お子さんがワキガについて悩みを打ち明けやすいよう、安心できる環境を作りましょう。
客観的に評価する
実際に臭いが強いわけではなくても、極端に気にしてしまうこともあります。客観的に気にならない臭いであれば、問題ないことを伝えましょう。
体質であることを理解させる
「不潔だから臭うわけではない」「生まれ持った体質だよ」と伝え、お子さんを不安にさせないことが大切です。
ストレス軽減
ストレスはアポクリン腺の分泌を活性化させます。規則正しい生活や適度な運動、そしてリラックスできる家庭環境は症状を抑えるために重要です。
STEP2:清潔を保つ
汗が細菌によって分解されることが臭いの原因なので(1)ワキの分泌物を抑える、こまめに取り除く、(2)細菌の繁殖を抑えることが、最も効果的な対策です。
汗をかいたらすぐ拭き取り、着替え
汗をかいたらその都度、デオドラントシートなどで拭き取りましょう。
インナーウェアが汗で湿ったときは、着替えをして清潔を保ちましょう。吸汗速乾素材の肌着を着用することも効果が期待できます。
入浴後の乾燥
シャワー後は、特にワキの下をタオルでしっかりと拭き、乾燥させることが大切です。多くの細菌は湿潤な環境で繁殖しやすいため、水分を取り除くことで菌の増殖を抑えられます。
制汗剤の正しい使い方
制汗剤やデオドラントは、軽度のワキガ症状には有効です。使う際は、すでに汗や臭いが出ている状態ではなく、皮膚を清潔にした状態にしてから使用しましょう。
腋毛を剃る
アポクリン腺は毛包に分泌を出すため、腋毛を除去することで毛包を洗いやすくし、かつ細菌が腋毛に繁殖することを防ぐ効果があります。
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