点眼がいい?それともコンタクト?子どもの近視治療の内容についていわみ眼科理事長岩見先生にお伺いしました

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子どもの近視が年々深刻化しているなか、近視治療についても日々新しい技術が模索・開発されています。今回は、「近視治療2.0時代の到来」をテーマに、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長の岩見久司先生から、現在、実際に行われている近視治療の内容についてお話いただきました。

近視治療2.0時代のツール

子どもたちの近視は、今まさに急増しています。前回は、近視の進行メカニズムや治療法の登場、家庭でできる対策について大まかにご紹介しました。今回は、実際に使われている近視治療の内容についてお話しします。

世界的に用いられている近視治療は、大きく分けて3つの系統があります。ひとつは目薬などの薬物治療、次にレンズを使った光学的治療、そして光を当てる光線療法です。レンズを使う治療には、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、そして特殊眼鏡という3つの選択肢があります。それぞれの特徴を順に見ていきましょう。

点眼治療 ― 低濃度アトロピン

2006年、シンガポールのグループが薄めたアトロピンという薬剤の点眼(低濃度アトロピン)で近視の進行が抑えられることを報告しました。(Chua WH Ophthalmology 2006)日本人を対象にした研究でも2021年には有効性が確認されていた(Hieda O Japanese journal of ophthalmology 2021)ものの、長らく承認はされていませんでした。国の承認を目指してあらためて治験が行われ、令和7年4月に販売が開始されました。
この点眼薬は、寝る前に1回使うタイプで、小さなお子さまでも使用しやすく、日本では治験時の基準で5歳から使えるとされています。副作用としては翌朝のまぶしさが挙げられますが、多くの場合1週間以内に慣れ、安全性の高い治療法です。

ハードコンタクト ― オルソケラトロジー

夜間に装用するハードコンタクトレンズが、いわゆるオルソケラトロジーです。特殊なレンズ形状により、角膜の中央部を平らにし、裸眼で遠くが見えるようにします。さらに、目に対する光の入り方が変わることで近視の進行も抑えられると考えられています。(Hiraoka T Ophthalmic Physiological Optics 2018)
寝る前に装用し、朝に外すため、保護者が管理しやすいという利点があります。比較的低年齢でも導入しやすい一方で、感染予防のためのレンズの消毒など適切なケアと、定期的な通院が重要です。

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