ブルーライトって悪いわけじゃないの?子どものスマホとの付き合い方について眼科医倉員先生にお伺いしました

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ブルーライトが目に悪いというけれど、どうして?やっぱりカットした方が自分や子どもの目のためにいい?そんな疑問について、医療法人創光会理事長の倉員敏明先生にお伺いしました。

ブルーライトは「全部悪い」わけではありません

〜眼内レンズと健康の関係〜
目に見える光の中でも、波長の短い「ブルーライト」は、パソコンやスマホ、LED照明などに多く含まれています。最近では、このブルーライトが目に悪い、睡眠を妨げるといった情報も多く、気にされている方も増えています。実際、白内障手術後に入れる眼内レンズの中には、ブルーライトをカットする機能を持ったものもあります。
しかし、ブルーライトを「何でもかんでもカットすれば良い」というわけではないのです。
ブルーライトは、たしかにエネルギーが強いため、網膜の細胞にダメージを与える可能性があることが、研究でも示唆されています。特に加齢黄斑変性(AMD)など、網膜の病気のリスクが高い方にとっては、ある程度のブルーライトカットが予防になるかもしれません。こうした目的で開発されたのが、「ブルーライトカット眼内レンズ(黄色のレンズ)」です。

一方で、ブルーライトには「健康に良い役割」もあります

実は、私たちの体内時計は、朝の青い光を浴びることでリセットされ、自然な睡眠リズムが整います。この働きは、目の奥にある特殊な神経(ipRGC)によって青い光が感知されることで起こります。ですから、ブルーライトを必要以上に遮ってしまうと、夜になっても眠くならない、朝すっきり起きられないといった、睡眠の質の低下や日中の眠気につながる可能性があるのです。

また、ブルーライトを強く遮るレンズでは、青色の見え方が変わるため、色の自然さが損なわれたり、夜間の運転や暗い場所での視認性が少し下がったりすることも報告されています。特に、目を使う勉強や仕事、色に敏感な趣味(絵画・ガーデニングなど)を持っている場合には、自然な色合いを保てる「透明な眼内レンズ」や「選択的ブルーライトカットレンズ(テクニスブルーなど)」が向いている場合もあります。

つまり、ブルーライトには「悪い面」も「良い面」もあるため、目の状態、ライフスタイル、睡眠の悩みなどを踏まえて、適切な眼内レンズを選ぶことが大切なのです。「とにかくカットすれば安心」と思い込まず、医師と相談しながら、自分に合った選択をすることが、手術後の快適な生活につながります。

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