朝、起きられなかったり、登校直前で体調不良を訴えたり・・・これってどうやって対応したらいいの?もしかして病気?そんな悩みについて今回は、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科出雲いいじまクリニック院長の飯島慶郎先生からお話をお伺いしました。

はじめに
「朝になると頭が痛い」「お腹が痛くて学校に行けない」「起きようとしても体が動かない」
こうした訴えを聞くと、多くの親御さんは戸惑われることでしょう。お子さんの言葉をどう受け止めればよいのか、どこまで深刻に考えるべきなのか、悩まれることもあるかもしれません。
心療内科医として多くの不登校のお子さんを診てきた経験から申し上げると、これらの症状の背景にはさまざまな要因が絡み合っていることがほとんどです。朝の体調不良は、お子さんからの重要なサインであることが多く、それに気づいて対応を考えようとされている親御さんの姿勢は、とても大切なことだと思います。
今回は、こうした状況に直面した親御さんが、どのような原因を考え、どう対応すべきかについて、具体的にお話ししていきます。
睡眠衛生の徹底的な見直し
どのような原因であれ、良質な睡眠を確保することは、朝の体調を改善する上で非常に重要です。睡眠衛生を整えることで、多くの症状が改善することがあります。以下、具体的な方法を詳しくご紹介します。
1:睡眠リズムの確立
規則正しい睡眠リズムは、体内時計を整える基本です。平日も週末も、同じ時間に寝て同じ時間に起きることを心がけましょう。「週末の寝だめ」は体内時計を乱し、月曜日の朝をさらに辛くしてしまいます。どうしても疲れている場合は、昼寝を15~20分程度に留めることで対応してください。
最初は15分ずつの調整から始めてもかまいません。急激な変化は続かないことが多いので、1週間かけて少しずつ理想の時間に近づけていきましょう。
2:光のコントロール
朝の光は体内時計をリセットする重要な要素です。起床後はすぐにカーテンを開けて太陽光を浴びるようにしましょう。曇りの日でも効果があります。逆に、夕方以降は部屋の照明を徐々に暗くしていき、就寝1時間前には間接照明のみにすることが理想的となります。
完璧を目指さなくても大丈夫です。まずは朝のカーテンを開けることから始め、徐々に夜の照明調整も取り入れていけばよいでしょう。
3:寝室環境の最適化
理想的な寝室環境を作ることも重要です。室温は18~22度、湿度は50~60%が理想的といえます。遮光カーテンで外光を遮断し、周囲の騒音が気になる場合は、耳栓を使用することで睡眠の質が改善することがあります。また、明るさが気になる方は、アイマスクを活用することで、より深い眠りにつけるようになる場合もあるでしょう。寝具も重要で、体に合った枕やマットレスを選ぶことで、睡眠の質が大きく改善することがあります。
すべてを一度に整える必要はありません。まずは室温調整から始めて、少しずつ環境を整えていくアプローチがお勧めです。
4:食事と睡眠の関係
夕食は就寝の3時間前までに済ませることが理想的ですが、部活動などで遅くなる場合は、消化の良いものを選びましょう。就寝前の空腹も眠りを妨げるため、どうしても空腹で眠れない場合は、消化に良い軽食を少量摂ることで入眠しやすくなることがあります。温かい牛乳や、バナナ、クラッカーなど、胃に負担をかけない程度の量に留めましょう。
生活リズムに合わせて、無理のない範囲で調整していくことが長続きの秘訣となります。
5:カフェインの摂取について
意外と見落とされがちなのがカフェインの影響です。コーヒーや紅茶だけでなく、緑茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレートにもカフェインが含まれています。カフェインの覚醒作用は摂取後4~6時間持続するため、午後3時以降のカフェイン摂取は避けるべきでしょう。
特に注意したいのは、最近の中高生に人気のエナジードリンクです。これらには大量のカフェインが含まれており、1本飲むだけで成人の1日の推奨摂取量を超えることもあります。「勉強のため」「部活の前に」と飲む習慣がある場合は、睡眠への影響を考えて見直す必要があるかもしれません。
まずは夕方以降のカフェイン摂取を控えることから始めて、徐々に午後3時以降の制限へと移行していくとよいでしょう。
6:入浴と体温の関係
良質な睡眠のために、入浴のタイミングは非常に重要です。人は体の深部体温が下がるときに眠気を感じるようになっています。入浴によって一時的に体温を上げ、その後の体温低下を利用することで、自然な眠気を誘うことができます。
理想的なのは、就寝の1~2時間前の入浴です。38~40度のぬるめのお湯に15~20分程度浸かることで、体の深部まで温まります。熱すぎるお湯は交感神経を刺激してかえって目が冴えてしまうため、避けましょう。
入浴後は、体温が自然に下がっていくのを妨げないよう、厚着は避け、部屋も涼しめに保つことがポイントです。この体温の変化が、質の良い睡眠への入り口となります。
7:運動のタイミング
適度な運動は睡眠の質を向上させますが、タイミングが重要です。理想的なのは夕方の運動で、体温を一時的に上げることで、その後の体温低下とともに自然な眠気を誘います。ただし、就寝2時間前以降の激しい運動は避けてください。
部活動などで夜遅い運動が避けられない場合は、クールダウンの時間を十分に取るよう心がけましょう。
8:入眠儀式の確立
毎晩同じルーティンを行うことで、体に「もうすぐ寝る時間」というシグナルを送ることができます。例えば、「お風呂に入る→パジャマに着替える→歯を磨く→本を10分読む→消灯」といった一連の流れを作りましょう。この儀式を毎晩繰り返すことで、自然に眠気が訪れるようになります。
最初は2~3つの簡単な行動から始めて、慣れてきたら少しずつ儀式を充実させていくとよいでしょう。
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