生活習慣が生理痛の原因かも?子どもの生理痛について沢岻美奈子女性医療クリニック院長の沢岻美奈子先生にお伺いしました。

子どもの生理痛が辛そう、だけど薬を飲ませてもいいのかな?お医者さんに相談してもいいんだろうか?
そんな悩みについて、沢岻美奈子女性医療クリニック院長の沢岻美奈子先生にお伺いしました。

意外と多い、子どもの生理の相談


更年期世代が多く通う私の婦人科クリニックでは、娘さんの月経不順や子宮頸がんワクチンの相談などをよく受けます。
大体10歳前後の年齢で初潮を迎え、最初から順調な周期の方は少ないので、どの程度の不順だったら病院に行ったほうがいいですか?などの質問です。不順にしても痛みにしても、月経に関する不安なことがあると『何か重大な婦人科の病気なのかしら?』と、とても不安になるようです。一方で、お母さん自身が月経の悩みのなかった方の場合は「なんでこの子はこんなに痛がるのだろう?」と不思議なようです。

生理痛の原因は生活習慣かも?

ネットの時代なので色々とキーワードを入れて検索すると「子宮内膜症」「子宮筋腫」「卵巣のう腫」怖い病気の名前がどんどん出てきますね。痛み止めを飲んでも全く治らない痛みの場合には、ごく稀に手術などの治療の必要な病気も隠れているので、婦人科の内診察が必要な事もありますが、長い産婦人科医としての経験的に、若い方の月経の痛みの多くは生活習慣や食事や睡眠、運動習慣のことを細かく聞いていくことで、おおよその原因を絞り込むことができます。
痛みを無理に我慢せずに、まずは鎮痛剤を飲むようにして下さい。
初潮を迎えて、月経周期の安定している子であれば産婦人科クリニックで低用量ピルや黄体ホルモン療法による治療の相談をしても良いでしょう。

いつまでも鎮痛剤を飲んで過ごすことに疑問がある方は根本的な原因を探っていきましょう。
若い子に限らず、冷えは万病の元というように月経痛の原因にもなります。運動をして筋肉をつける、体を冷やすような食材を控えることも大切です。
全国民的に睡眠が足りていない日本ですが、8時間程度はしっかり睡眠をとりましょう。
お母さんたちに是非知っていて欲しいことがあります。

栄養のバランスも気遣ってあげましょう

月経を迎えた女の子が、習い事の運動や部活動を始める時には栄養のことを考えてあげてください。成長期には男女ともにとても栄養を必要とします。運動することで、体に必要な栄養はさらに増えます。月経のたびに出血で栄養を失います。
月経前のメンタルの不調を訴える方々も、やはり栄養面での問題が隠れていることが多いです。イライラしたり落ち込んだりといった、心療内科に行こうかな?と思うような症状も学校で抱えているストレスが原因だから仕方がないとあきらめないで下さい。
体をつくっているたんぱく質をしっかり摂るためには、朝食をヨーグルトとバナナだけで済ませていては足りないので、卵料理も加えるなどの一工夫です。お年頃だから、甘いものが好きで仕方がない訳ではなく、食事でしっかり必要な栄養が摂れていない表れかもしれません。
ビタミン・ミネラル栄養には色々ありますが、月経の症状で受診されるほとんどの方に鉄欠乏性貧血が隠れている現実を知って、今一度食事の重要さを考えてください。

執筆者

沢岻美奈子先生

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。女性ヘルスケア認定医。
神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。
女性特有の病気の早期発見のための検診を行なってい更年期を中心にホルモンや漢方治療だけでなく、カウンセリングや栄養療法もとりいれた診療をしています。
女性のヘルスリテラシー向上のために実際の診察室の中での患者さんとのやりとりなどをインスタグラムでの配信や、podcastで「女性と更年期の話」の番組も配信している。

沢岻美奈子女性医療クリニック
https://takushiminako.com/

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