花粉症には地域性や、花粉症から派生するアレルギーもあるって聞いたけど、それって本当!?どんなことに気を付けるべき?そんな疑問に、アルバアレルギークリニック院長、続木 康伸先生にお答えいただきました。
花粉症発症の低年齢化が進んでいる?
花粉症はただの季節の不快な訪問者以上のものであり、特に子どもたちにとっては、その影響がより広範囲に及ぶ可能性があります。花粉症は近年低年齢化の傾向が顕著になっており、2歳から花粉症の症状が出始めるケースもあります。
通常、5歳以上の子どもたちに多いですが、花粉症は地域によって原因となる花粉の種類が異なり、それに伴い、症状が始まる時期や終わる時期も変わってきます。特に、近年ではローカルな花粉によるアレルギーも増えており、従来の検査方法では把握しにくいケースも出てきています。
子どもが花粉症にかかった場合、その症状は風邪と似ているため、区別が難しいことがあります。しかし、花粉症は季節性があり、特定の時期にのみ症状が現れ、屋外にいるときに限って症状が悪化することが特徴です。これらの症状は成長しても軽減されることは少なく、適切な対策が求められます。
花粉症から食べ物アレルギー!?
日常生活での対策として、花粉の季節には事前に予防薬を使用すること、また、花粉を体内に取り込まないためのマスクやゴーグルの使用、屋外での洋服への花粉の付着を避けるための措置などが重要です。
さらに、花粉症に伴い、花粉症から派生する果物や野菜へのアレルギーも増加し、重症化しているという事実には特に注意が必要です。
これは、特定の花粉に対するアレルギーがある人が、それと類似したたんぱく質を含む特定の果物や野菜を食べたときにアレルギー症状を示す状態です。
たとえば、スギやヒノキ花粉症の子どもはトマト、シラカバであればリンゴや桃など特定の果物を食べると口の中がかゆくなることがあります。このような症状は、生の果物や野菜によく見られ、加熱することで症状が出にくくなる場合が多いですが、完全に人によります。
さらに、地域によって主に飛散する花粉の種類が異なるため、地域によって子どもたちが反応する果物や野菜の種類も変わります。この地域性は、花粉症の原因となる花粉の種類だけでなく、食物アレルギーのパターンにも影響を及ぼします。
この低年齢化と重症化の傾向は、子どもたちの生活において重要な意味を持ちます。特に、食物アレルギーは日常生活に大きな影響を与える可能性があり、注意深い食事の管理が必要となります。
花粉症の治療方法
花粉症の治療としては、通常は内服、点鼻、点眼などの症療法がおこなわれ、特に、重症のスギ花粉症に悩む12歳以上の子どもたちに対しては、根治ではないものの2020年から生物学的製剤での治療薬が使用可能になりました。
一方、唯一根治が期待できる治療として、免疫療法があります。
この方法は、体がアレルギー反応を示す花粉に慣れるようにする治療で、日本以外の国では一般的であり、さまざまな花粉に対応する形で行われております。日本ではスギ花粉症のみに対して健康保険が適用されています。
花粉症は、子どもにとっても無視できない健康問題です。
地域による花粉の種類の違いや、関連する果物や野菜アレルギーの増加など、複雑な要因が絡み合っています。そのため、症状に応じて医師と相談しながら、適切な予防策や治療方法を選択することが大切です。
[執筆者]
続木 康伸(つづき・やすのぶ)先生
アルバアレルギークリニック 院長
[プロフィール]
新生児から妊婦まで、九州や東京からも患者が訪れるアルバアレルギークリニック院長 。
これまでの経緯をよく聞いて、あなたの症状に対して薬を選び、これまでとは違った角度で血液検査の分析を行い、あなたのアレルギーを全く別の方向からアプローチすることを目指しています。
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