春から新一年生!こどもの勉強習慣は、できるだけ小さいうちからがいいの?勉強する習慣が身に付くか心配!元教師が答えます!

春から新一年生!でも、勉強する習慣が身に付くか心配…いい方法はある?今回はそんな疑問について、元高校教師であり現在は小中学生の学習法・読解教室を経営されている株式会社J-エデュケーション代表取締役、寺田昌嗣さんにお答えいただきました。



子どもの勉強習慣は、できるだけ小さいうちからがいいの?

小学生の間くらいのびのびとすごさせたい・・・。
中学校入試を考えると、早い段階から勉強させなきゃだめかしら・・・。
小学校時代の勉強は、地域や家庭によっても温度差が大きく、何を参考にしたらいいか迷うかもしれません。
元中学校教師、現在、小中学生の学習法・読解教室を地方都市で営む身として、お伝えしたいのは「焦って勉強させる必要はないから、大事なことを踏み外さないよう、お子さんの学びをサポートしましょう」ということです。
勉強の習慣が早く身につけば、それに越したことはないかもしれません。しかし、焦って押しつけてしまうと、「勉強は大人に言われて仕方なくやるもの」という「ひとごと」になってしまいます。そもそも小学校低学年までは、家庭での学習(宿題)にはあまり効果がないという学術的な調査結果(※)もあります。むしろ、さまざまな社会体験など興味が広がる経験を積んでおくべきとも考えられるのです。
※Cooper, H., Robinson, J. C., & Patall, E. A. (2006). Does homework improve academic achievement? A synthesis of research, 1987–2003. Review of educational research, 76(1), 1-62.

でも、やっぱり勉強させないのは不安です。

「じゃぁ、何もさせなくていいの?」と困惑してしまうかも知れません。あとあと勉強に困らないか…という不安もあるでしょう。
そこでお勧めなのが、夕食後などに親子で時間をとって本を読むこと。ただし、学校の宿題にあるような「ただ音読すること」には学習効果は期待できません。一緒に読み、感想を伝え合ったり、疑問を出し合ったりするのです。読んだ内容について、自分の言葉で人に伝えることや、人の意見について考えることは、子どもの読解力を高める効果があるとされています。
これも読書が苦手な子には苦痛かも知れませんね。最初は15分くらいを目標にして、親子で一段落ごとに交代で音読(輪読)するなど工夫してみてください。
お子さんが読書に慣れてきて、自分で集中して読めるようになったら、「親子の読書タイム」として30分から45分ほどを目安にして、それぞれ興味のある本を読み、その後に内容や感想を伝え合うといいでしょう。
落ち着いて読書に取り組めるようになれば、勉強に取り組むのもそれほど難しくないはずです。また小学校の早い段階で、たくさんの言葉、とりわけ漢字に親しんでおくことで、「分からないことを自分で調べて理解する」力が付き、自学自習ができるようになります。親子の読書タイムの中で、学校の勉強についての悩みを聞くチャンスも生まれやすいでしょう。

子どもが「進んで勉強する」ようになるには?

それからもうひとつ、「子どもが進んで勉強する」ように導いていく上で、とても大切なことがあります。それは「正しい勉強の手順」を親子で理解することです。
例えば、「漢字を何度も繰り返して書く」ことは小学校低学年のうちは一定の効果があるのですが、小学校3年生くらいから、「漢字を憶える」ことにつながらなくなってきます。驚かれるかも知れませんが「何度も書く」ことは学習効果が低い作業なのです。面倒くさくて疲れるわりに憶えられない…としたら、勉強へのモチベーションは下がりますよね?
算数だと、問題を解いた後、間違えた問題の正解を書き写して終わらせていないでしょうか?
これも学力が身につかない間違ったやり方のひとつです。模範解答を見て、どこをどう間違ったのかを確認したら、他の問題まで答え合わせが終わってから、もう一度、答えを見ないで自力で解く必要があります。ほんのちょっとした工夫ですが、正しい方法を採用することで学習効果が驚くほど上がりますし、そのことが「がんばったらできる!」という自信につながり、勉強に対するモチベーションを高めてくれるものなのです。

言葉と漢字を読書の中で自然と吸収し、正しい勉強法で学校の宿題や自学用の問題集に取り組んでいくこと。それを保護者が見守りながら、一緒に楽しんでやっていくこと。そういった習慣が、やがてお子さんの中に「勉強しなきゃ!」という気持ちが生まれた時に、本当の勉強習慣に変わっていくはずです。ぜひ、お試しください。

[執筆者]

寺田 正嗣

[プロフィール]
1970年、福岡生まれ。名古屋大学(法)卒。元福岡県立高校教諭。
現在は教育事業を営む傍ら、九州大学大学院(博士課程)に在籍し読書教育と学習法の研究に勤しむ。
教職在職期間は8年と短期間ながらユニークな授業が評判となり、全国紙一面に授業が紹介されている(1998年元旦・朝日新聞全国版)。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究してきた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。
その効果の高さから、進研ゼミの特集号の監修をはじめ雑誌等の取材も多い。また速読法は私立大学の通年授業として採用された実績もある。
著書には10万部のベストセラー書『フォーカス・リーディング』等がある。

株式会社J-エデュケーション
https://www.kotonoba.jp/

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