子どもの歯肉炎、そんなに気にしなくてもいい?お医者さんに行った方がいい?歯科医師安部先生に伺いました!

最近子どもの歯肉炎が気になるけど、どうしたらいい?お医者さんに行った方がいいかな?そんな悩みについて、今回は一般社団法人日本口育協会 理事長、安部秀弘先生にお伺いしました。



子どもの歯肉炎、そんなに気にしなくてもいい?

まず歯肉炎と歯周病の違いですが、歯肉炎は歯肉だけが炎症を起こして腫れている状態で、歯周病とは表面の歯肉が腫れているだけではなく、中の骨の部分が吸収破壊を起こしている状態をいいます。
一般的に成長発育期では骨の破壊は起こらないといわれているので、小児の場合は表面の歯肉が腫れているだけで骨まで影響している事はありません。しかも歯肉炎程度では痛みも無く、症状としては歯磨き時に出血するぐらいです。極端な言い方をすれば放置しても直接的に大きな問題を起こす事はありません。実際に3,4歳の子どもでも乳歯が歯肉炎を起こしているケースは多いですが、無理に歯科医院で歯のクリーニングを行う事はあまり一般的ではありません。

歯磨きがうまく出来ていないと、意外な要因を呼ぶことも?!

歯肉炎が起こる原理はプラークなどの柔らかい汚れを仕上げ磨きや自分の歯磨きでしっかり落とせてない場合と、歯石がついている場合と原因が二つあります。
どんなに仕上げ磨きを徹底しても歯石が取れないと完璧に歯肉炎を治す事は出来ません。しかし上述のように無理に歯石を取ることは幼児にとってストレスでしかないので、歯磨きを徹底し少しでも良い状態にしておけば十分であると考えます。
歯のプラークは砂糖から生じるので砂糖の入ったジュースや食べ物を制限する事もプラークコントロールに繋がります。
そして最も歯肉炎に影響を与えるのが歯の間の汚れです。歯の間にフロスを通す事は歯肉炎を改善させる上で重要です。
歯肉炎自体は痛みもないですし、小児の間は後遺症を残す事もありませんが、こういった慢性炎症が全身に悪い影響を与える場合があります。口腔内が不潔な事で炎症性サイトカインが全身に散らばる事で鼻詰まりやアトピーなどの炎症やアレルギー、肥満などを起こす可能性もあります。また口腔内の細菌は血流に乗り全身にいきわたり、細菌性心内膜炎や腎炎などの原因になる場合もあります。

やっぱり、大切なのは歯磨き!

歯肉炎自体の歯肉に与える影響は深刻な問題ではないとしても、歯肉炎が全身の問題に関わっている事を考えると小児期からのプラークコントロールは重要です。
プラークコントロールは歯科医院で歯を染め出したりして磨けている所と磨けていない所を繰り返し指導を受ける事で完成されていきます。
幼少期より歯科医院を定期的に受診して歯科医院に慣れさせ、歯磨き指導や仕上げ磨きのポイントを教わりながら、出来そうな子どもは歯のクリーニングや歯石取りなどの段階的に進めていくと良いと思います。

[執筆者]

安部 秀弘(あべ・ひでひろ)先生
一般社団法人日本口育協会 理事長

[プロフィール]
国立新潟大学歯学部卒
JODA(日本口育協会理事)
AAMS(アメリカ応用筋機能学会講演者)
AAPMD(アメリカ医科歯科生理学学会講演者)
IPOS(国際小児矯正学会ボードメンバー)

日本口育協会では0歳からの口腔機能の発達に関する歯科関連のセミナーや資格制度を行っています。口腔領域の正常な発達は全身の健康に繋がっていきます。
口育協会には0歳からの虫歯や歯並びに関する管理ができる全国の歯科医院が加入しています。
お子さまの口からの健康管理に興味のある方は下記HPアドレスよりお近くの歯科医院を探し相談をされてみてください。

一般社団法人日本口育協会
https://www.oral-development-association.org/

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