子どもの歯肉炎、最近増えているって知っていましたか?今回は子どもがかかる歯肉炎について、ヒグチデンタルクリニック院長、三枝遵子先生にお伺いしました。
そもそも、歯肉炎ってなに?
専門的にお話しするならば、歯周病(ししゅうびょう)の軽度の症状を歯肉炎(しにくえん)といいます。
軽度とはどういうこと?と思うかもしれませんね。
私達は歯肉(しにく)といいますが、皆さんには歯ぐきと言った方がピンとくるかもしれません。
歯ぐきが赤くなったり、血が出たり、少し嫌な臭いがしたりするのが歯肉炎(しにくえん)の症状です。
専門的になりますが、歯周病(ししゅうびょう)は 歯肉炎(しにくえん)と歯周炎(ししゅうえん)に分かれます。
大きな違いは歯肉炎は治りますが、歯周炎は治らず、現状維持か進行するかになります(治療によっては、改善することもあります)。
<歯肉炎>
歯を支えている顎の骨が溶けてなく、歯肉だけに炎症があり、口腔清掃状態が良くなれば治る。
<歯周炎>
歯を支えている顎の骨まで溶けてしまっていて、歯肉が腫れ、歯肉からいつも血がでるような中等度から重度の症状。酷い時には歯ぐきより膿がでて口臭が出るようになる。口腔清掃状態が良くなっても、溶けてしまった骨は元には戻らなく、骨がどれくらい溶けてしまっているかで重症度の度合いがわかる。
仕上げ磨きをすると痛いといわれました・・・
歯ぐきが痛いと言われないように、最初は少し優しめに磨くようにすると良いかもしれませんね。
しかし歯肉炎の原因は歯ぐきについた歯垢(しこう)です。歯垢は1mgに何億個といわれる細菌です。ですから、細菌により歯ぐきが炎症を起こしているのです。その歯垢、つまり、細菌を取り除けば、歯ぐきの炎症がなくなり良くなります。
もしかしたら、保護者の方も仕上げ磨きで歯だけを磨くだけになってしまい、歯ぐき周りの歯垢が取れていないため、痛がっているかもしれませんね。
その場合は歯磨きをして歯垢、つまり、細菌を取り除く事で炎症がなくなり、痛みが和らぎます。あまりにも痛がる時はガーゼや綿棒などで優しく、歯ぐき周りの歯垢を取り除くだけでも和らぐと思います。とにかく、痛くても歯垢をとらないと、悪循環でより症状が悪化し、さらに痛みを訴えるかもしれません。
気になったら歯医者さんに行った方がいいですか?
歯ぐき周りの歯垢がよく取れる歯磨きをしていれば、良くなりますので様子をみてもいいのですが、実際いらした方々に伺うと、どのあたりをどのような力で磨くかをよくわかっていない方も多いので、歯ブラシの当たり方が合っているかどうかの確認のためにも、受診をおすすめします。
口の中の歯垢をゼロにする事はできません。歯垢は普通の歯磨きでも全部取りきれないので、定期的に歯科医や歯科衛生士にクリーニングしてもらうことは虫歯や歯周病の予防になりますよ。
また、お子さんの歯ぐきの状況は保護者の方の仕上げ磨きの良し悪しも関係しています。どのように仕上げ磨きをするかは、お子さんによって変わってくるかもしれませんので、ご自身の仕上げ磨きが合っているか、確認するために受診することをお勧めします。
最近は虫歯は少なくなっているのですが、コロナ禍、マスク生活もあり、口呼吸をしているお子さんも多く、歯肉炎が多くなっています。お口を開いていれば、今までは指摘でき、口を閉じるように伝えられたのですが、マスクの中で口を開けているかの確認が出来ずにいます。コロナ禍で大人の方でも口呼吸が多くなり、口腔内乾燥により、口臭を感じるとおっしゃる患者さんも増えているのが現状です。
マスクをしていても、お口周りをキチンと意識して過ごしたいですね。
[執筆者]
三枝 遵子(さいぐさ じゅんこ)先生
ヒグチデンタルクリニック院長
[プロフィール]
1994年日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部付属歯科病院・歯周病学講座を経て、台東区浅草で樋口歯科を開業。2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変え台東区雷門に移転、現在に至る。2011年に予防啓発活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。2013年には「DVDでみる絵本」を制作。2021年には「なんではをみがくの?」という今更聞けない、大人にこそ読んで欲しい絵本を制作。欧米諸国並みに日本国民の歯の予防意識を向上させたい!と予防啓発に励む。
ヒグチデンタルクリニック ホームページ
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