【歯科医師に聞いてみた】子供の健康な歯を維持するための、上手な歯磨き方法を教えてください!

大人でも大変なのに、子どもの歯磨きとなると悩みも手間も尽きず・・・。大きくなっても健康な歯を維持するために大切なことは?一般社団法人日本口育協会理事長、安部秀弘先生にお伺いしました。

乳幼児からの歯磨き、気を付けることは?

生後8ヶ月くらいから下前歯の乳歯が生えてきます。この頃から仕上げ磨きを開始しますが、最初は歯ブラシを使わずガーゼを指に巻き、フッ素のゼリーなどで湿らせて歯の表側の歯面をふき取るようにして歯磨きを開始されると良いと思います。
協力的でない状態で無理やり押さえつけて歯ブラシで歯磨きをすると、歯肉に歯ブラシが触れてしまう場合があり、かなり痛いので歯磨き自体が嫌いな子どもになる場合があります。特に上前歯の表側の歯の付け根の部分が虫歯になり易い場所です。この歯の付け根を歯ブラシで磨くより、ガーゼの方が安全に痛くなく歯垢を拭き取る事が出来ます。
お母さんの指で優しく歯の表側だけガーゼで拭ってあげて、歯磨きの好きな子どもになるように心がけましょう。
歯の裏側は余程の事がない限り虫歯になりません。咬まれたりしないのであれば内側も徐々に磨くようにしていけば良いですが、無理そうな場合、歯の表側のみで大丈夫です。1歳や2歳で万が一虫歯が出来てくるほとんどが、上前歯の表の付け根です。

小さいうちからやっておくと良い習慣は?


同じく虫歯予防で重要なのはフロッシング、つまり歯の間に糸を通す事です。
日本人は歯の間に糸を通して歯の間の汚れを取る習慣がありません。しかし実際に最も汚れている場所は歯の間で、この部分も1,2歳から虫歯になってくる場所です。
子ども用の味のついた糸ようじなども市販されています。こういった糸ようじを使い歯が生えてきたら最初は糸ようじを舐めさせたり、歯の先を軽くちょんちょんと糸を当てたりしながら慣らしていきます。歯の間に隙間があれば、まずはそのような通し易い所から通してみましょう。最初からしっかり通すのではなく少しずつ慣れさせていきます。
0~3歳からフロスを通した子どもは、フロスを通さないと気持ちが悪いという感覚が身に付き、一生の習慣になっていきます。

2歳ぐらいになって歯磨きが好きになり協力的になってきたら、柔らかい歯ブラシを使い歯肉に当たらないように気を付けて歯の付け根の部分を磨きましょう。可能なら歯の裏側も気を付けて磨いてみましょう。

5,6歳になると永久歯が生えて来ます。
小児期に永久歯が虫歯になるのは、歯の溝か歯の間です。
歯の溝は削らずにフッ素の入った白い薬で埋めてもらえば、虫歯にならなくなります。歯の間は、フロスを歯が生えてきた時から毎日通していれば、虫歯になりません。
よってフロスを通す習慣を、永久歯が生えて来る前につくる事が非常に大切です。乳歯が虫歯になっても永久歯さえ虫歯にならなければ、真っ白な歯になることが出来ます。
市販の歯磨き粉はフッ素濃度が示されてないものが多く、実際のフッ素濃度も低く有効性が確認出来ません。
歯科医院専売の歯磨き粉はフッ素濃度がしっかり示されています。甘い子ども用の歯磨き粉しか使用できない場合には950ppm、大人用の歯磨き粉が使えるようになったら1450ppmのフッ素が入った歯磨き粉を使用しましょう。

仕上げ磨きはいつまで行うの?

仕上げ磨きは本人がしっかり磨けるようになるまでは続けるべきですが、個人差はありますが、概ね8歳前後ぐらいまでかと思います。
ただし虫歯が出来て来るお子さんの場合は、小学生のうちは仕上げ磨きを継続した方がよろしいでしょう。歯磨きはどこが磨けていてどこが磨けてないかわからずに磨いている場合が多いので、歯医者さんで歯磨き指導を受ける事は重要です。

[執筆者]

安部 秀弘(あべ・ひでひろ)先生
一般社団法人日本口育協会 理事長

[プロフィール]
国立新潟大学歯学部卒
JODA(日本口育協会理事)
AAMS(アメリカ応用筋機能学会講演者)
AAPMD(アメリカ医科歯科生理学学会講演者)
IPOS(国際小児矯正学会ボードメンバー)

日本口育協会では0歳からの口腔機能の発達に関する歯科関連のセミナーや資格制度を行っています。口腔領域の正常な発達は全身の健康に繋がっていきます。
口育協会には0歳からの虫歯や歯並びに関する管理ができる全国の歯科医院が加入しています。
お子さまの口からの健康管理に興味のある方は下記HPアドレスよりお近くの歯科医院を探し相談をされてみてください。

一般社団法人日本口育協会
https://www.oral-development-association.org/

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