[32]「実際に見たものしかわからない」私と娘を真っすぐ見て言われたこと。障害児のママは神様に選ばれたと言われて|植木千尋の育児まんが

前回のお話
歩道で激しく泣くゆみかちゃんを抱きかかえるあやこさんを見て「ママ大変ね~」と声をかけてきた女性は、ゆみかちゃんのヘルプマークに気付くと「そういう子でもちゃんと育てられるママを神様が選んだのね~」と言いました。何度も何度も言われたこの言葉にもう限界だったあやこさんの気持ちが爆発しそうになった時、「それじゃあマンボウは卵3億個産むから、ママを選ぶ神様は大変ですねー!」と言いながらはるさんが現れて・・・。

障害児のママは神様に選ばれたと言われて[32]



「ちょっと!あなたデリカシーないわね。この人の気持ちがわからないの!?」
はるさんの突然の言葉に一瞬呆気にとられていた女性は、はるさんを責め始めました。

はるさんは、そんな女性の言葉を笑顔で受け流し、

「はいはい、ごめんなさいね~。悪者が通りますよ~」
と言いながら女性とあやこさんの間に入り、

「さっ早く行こ」
とあやこさんの背中を押して歩き始めます。

「・・・もしかして助けてくれたんですか?」
しばらく歩いた後、あやこさんは立ち止まってはるさんに問いかけました。

「あ、助けになってた?ならよかった。割り込んでごめんね。瀬戸さん辛そうな顔してたから・・・」
そう答えたはるさんの言葉を聞いて、あやこさんは心が温かくなりました。


「さっきの、神様に選ばれたとかの話・・・自分でもよくわからないけどすごく嫌で。私が卑屈になってるだけなんですけど・・・。
あ・・・不快にさせてたらごめんなさい」
あやこさんは自分の気持ちをはるさんに打ち明けます。

「いや、大丈夫。私もノーサンキュー派だから」
と笑うはるさん。

そして
「自閉っ子育てて10年になるけど、いまだに言われるしね」
と続けます。

それを聞いたあやこさんは、
「あれ?10年?4年じゃないの?」
と不思議に思います。

「・・・私、本当にダメな母親なんです。善意だってわかってるのに、神様に選ばれたって言われるのどうして受け入れられないんだろう・・・」
自分にも問いかけるようにはるさんに話すあやこさん。

はるさんは
「ごめん。私は瀬戸さんの答えを出すことはできない」

「私は実際に見たものしかわからないから」

目の前のあやこさんとゆみかちゃんを真っすぐ見ながらはるさんは言いました。

続きます

植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中

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